完全ニャる飼育　最終回 / 結末

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

『見たい』

『知りたい』

『あなたの すべてを』

『あなたの心を――』

『母は』

「――ちゃんのおうちは　　いいなぁ」

『いつも隣の芝生を 羨んで 妬んで』

「最近 車買い替えたんだって」

「○○さんちは 今度旅行 行くんだって」

「○○さんの着てる服 ブランドなんだって」

『かといって 自分は人に甘えてばかりで 何もしない人だった』

『私は そんな母が』

『大嫌いだった』

（だったら 自分で なんとかすればいいのに）

『だから 私は　　母のように弱い人間には なるまいと』

『自立した人になろうと』

『小さい頃から ずっと』

『隣の芝生側の人間になれるよう 努力してきた』

『そして 大人になった今』

「楚乃 もいっかい しよ」

「…何？」

「ダメよ 泰也さん」

「！」

「新しいプロジェクトの企画書 今日までに欲しいんでしょ」

「ああ そうだったね」

「先に行って 仕上げるわ　　朝ごはんは用意してあるから」

「ふふ」

「なぁに？」

「いや ごめん 楚乃はホント仕事人間だなと思って」

「あら ダメだった？」

「いや 僕はそんな君だから好きになったんだ」

「自立した女性は　　素敵だよ」

『理想通りの』

『強くてたくましい女性に なれたと思う』

『小南 楚乃 ２８才　　大手通信会社 インターネット事業部 勤務』

「みやちゃん　　この案件は 前にも指摘した所だと思うけど」

「すみません…」

「でも だって…」

「――もう しょうがないわ　　もう一度 私と一緒にブラッシュアップして」

「会議のサマリーを作り直しましょう」

「はい ありがとうございますぅ」

「なんだ またミスしたのか　　ホント お前はダメだな」

『西村 泰也 ３２才 事業部の部長 若手ホープ』

「小南くん アレできてる？」

「西村部長～～ だって～～」

「…できてます」

「今月の出資報告書です　　前年度比率と比較しての」

「プライマリーバランスは上々かと思われます」

「ありがとう やっぱりキミに任せて正解だったな　　これからも頼りにしてるよ」

『私も』

『私の仕事も 認めてくれる 素敵な彼』

「はい ありがとうございます」

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