「となりの怪物くん」2巻では、ぶっきらぼうで他の生徒たちに避けられていたハルが雫のアドバイスに従って笑顔を心がけてみたところ、急激に学校の女の子たちの人気者になります。
その時の雫の複雑な気持ちがものすごく伝わってきて、まるで自分のことのように感じてしまいました。
夏目さんに指摘されて、雫があっさりやきもちと認めてしまうところが可愛いと思います。
そんな中、1巻で友達になったササヤンくんがハルの中学時代ついて語り出します。
ササヤンくんは社交的でとても感じが良い男の子で、お気に入りのキャラクターです。ササヤンくんの言う、ハルに対する「借り」とは何なのか気になるところです。
球技大会の日、新キャラクターの大島さんという女の子をかばってケンカしたことで、ハルは再び生徒たちに白い目で見られてしまいます。
駆けつけた雫がハルをその場から連れ出した後、語り合うシーンでは2人の距離がぐっと縮まり、嬉しくなりました。
このように雫とハルは読者から見ると明らかに好きあっていると思われるのに、気持ちのすれ違いからなかなか恋人同士のおつきあいには発展しません。
その過程で感じるもどかしさやせつなさが、この作品の魅力だと思います。
雫がハルと出会ってから最初の夏休み、雫とハル、夏目さん、ササヤンくんはハルの従兄のみっちゃんさんの車で渓流釣りにやってきました。
雫はこれまで勉強ばかりしていたので、こんな風に友達と賑やかに出かけることはなかったと思います。
恋に、友情にと初めてづくしの夏。夜、遊び疲れて車で帰ってきた時の独特の雰囲気は、自分も感じたことがあるような気がします。なんだか懐かしい気持ちになりました。
そこにハルの兄、優山が現れます。優山は長髪の美青年ですが、何を考えているのか分からないような謎めいた人物です。
ハルは過剰なまでに優山を避けており、家庭に複雑な事情がある様子。今後の展開が気になります。
2学期、球技大会の時にハルに助けてもらった大島さんはハルのことを好きになっていました。
恋のライバル出現と言うと、よくあるのはライバルの女の子は性格があまり良くないというパターンです。
ところがこの大島さんはおとなしくて応援したくなるような女の子。読者視点ではもちろん雫とハルを応援したいのですが、大島さんにも幸せになってもらいたいと思います。
大島さんの出現もきっかけとなって、ハルに対する想いの強さに戸惑う雫は子供の頃のことを思い出していました。
母の仕事が忙しくて心が満たされなかった少女時代。欲しいものを求めて得られなかった時のさみしさ。満たされない心を埋めるために、雫は勉強に打ち込んできました。
雫はハルに友達宣言をし、一定の距離を置こうとします。
何かを強く求めると、それを失うことを恐れてしまいます。
雫が「自分にとって大切なのは勉強だ」と恋心を封じ込めてしまうのは、その恐れから自分の心を守る自己防衛反応なのだと思います。
それに対してハルは逆に雫にときめいてしまっている様子。またしても2人の想いはすれ違おうとしています。
一方が近づくと、もう一方が離れてしまう…この恋のせつなさは、まだまだ続きそうです。