小夏あこ先生の連載作品「ましてや佐野くんと恋なんて」の最新話が読めるマーガレットは、毎月5日と20日に発売です
同時配信の電子版が便利でオススメ!
もくじ
最終話 マーガレット 2024年15号
出版社 集英社/2024年7月5日 発売
おかえり、初恋。 / 1巻 -今だけ無料-
2024年2月9日まで
『同窓会に来たけど 仲いい子が来ていなくて馴染めていない』
(帰ろうかな…)
「あれ?」
「山根さん…だよね?」
「覚えてる? 俺 田口だよ」
「…っ!?」
『うそ だって高校の頃の彼は――…』
「誰 お前 ここ俺の場所なんだけど」
『とげとげだった』
「え 泣いてる」
「ごごごごめんなさ」
「なんかあったん?」
「クラスに馴染めなくて ちょっと場所を拝借しておりました 大変申し訳あ」
「あっそ」
「じゃあ俺と一緒だな」
「え―…」
「あー アイス食いてぇ」
「抜け出すか」
「か 変わったね…」
『あの時学校を抜け出すなんて初めてで ドキドキして すごく楽しかった』
(でも あのドキドキは それだけじゃなかった気が…)
『向こうは分からないけど あの時のこと 私はずっと覚えてる』
「こんなに人がいて結局すみっこにいるなんて 相変わらずだよな」
「本当――…」
「に…」
「ねぇ」
「また抜け出すか」
「…やっぱり変わってない」
「そう?」
『同窓会に参加したら 昔気になっていた人と再会し』
『なぜか こっそり二人で抜け出すことに』
(これ どうなってるの…)
「行きつけの店があるんだけど そこでもいい?」
「ウ ウン!」
「あ ここの階段 急だから気を付けて」
ドキッ
『田口くん 大人になったなぁ 昔は――…』
『ゴリゴリだったのに』
「もたもたしてると見つかんぞ」
『初めて会った日 田口くんに連れられて学校を抜け出した』
「高…」
「早くしろ ほら」
「う うん」
「うっ」
「あっ ありがとう」
「ん」
(見た目は変わっても 優しいところは変わってないなぁ)
「ありがとう」
「もうすぐ そこだよ」
『あ あれ?』
(も もう階段 終わった のに)
「あっあの 手――…」
「ん?」
「なっなんでもないです…」
「着いたよ」
(やっぱり 変わったところもある… よね…)
『同窓会で昔 気になっていた彼と再会』
「お酒好きなの? ペース大丈夫?」
『こっそり二人で抜け出してバーに入ったはいいけど』
「お気になさらず…!!」
『いい雰囲気すぎて すごく緊張する 酔えば少しマシになるはず…!?』
「山根さんって急に へりくだるときあるよな 昔から」
『昔… そういえば初対面で学校 抜け出した時も緊張したな…』
『だってあの頃の田口くんは――…』
『耳とかザクザクだったし』
「ピアス かっこいいね」
「は?」
(ひっ 気まずくて変なこと言っちゃった!?)
「怖くねぇの?」
「え?」
「人が好きでつけてんのに 怖いだのキモイだの言う奴がいんだよ」
「そうなんだ…」
「私は似合ってて素敵だと思う」
「あっ でも 痛くないのかなとは思ったり…」
「…触る?」
「さっ 触…!? 恐れ多いです…」
「冗談」
「山根さん 水飲まなくて大丈夫?」
「―…」
「――もうピアスはつけないの?」
「つけない方が場に馴染めるかと思って」
「でもたまに つけてるよ 穴はまだ開いているから」
「――触る?」
「なんて 冗だ――」
「ほんとだ 似合ってたから また見たいなぁ」
「――山根さん」
「もう限界でしょ すみませんタクシー呼んでください」
「ふふっ たぐちくん かわったのに かわってない…」
「人のこと言えないだろ」
無料期間が終わっても サンプル試し読みできます! 気になったら ぜひチェック♪