ちはやふる続編plusきみがため【ネタバレ】最新話11話

「田丸さんはちがう、背負いつつもチームをまとめられる。田丸さんが目指すエースは？」

「相手エースと当たって星落としたくないと思ってるエースを潰すエースになります」

「いいね！ 一人一人 詰めていこうか。橋立くん アドバイスして、駒野も情報あったら出して。原さんって予選ではどうだったの？」

「香川はチームのバランスがたぶん―…」

「秋野くんの情報 全然ない 教えて」

ああ…、頼もしい…。【花野菫 享年十七歳】 死因・頼も死……

《パタン》

「花野先輩～～～～」

「どこにいても 私たちは、近江に一番いたかったのは長良くんだって わかってる。無理はしなくていいから、大丈夫そうなら戻ってきて」

「長良くん 走って」

「負けないから。瑞沢は、勝って待ってるから」

「……甘いんですよ。宮内先生も結局 競技かるたの人じゃないから、勝ちに対して甘すぎる。やる必要のないことで うちはＢ級を一人失ったんですよ、いったい どうするつもりなんですか。だれが、どうやって、3勝するんですか」

「わあ……、主将だけでも すごい人数～。これみんな かるたが強い高校の人たちなんですよね、そのなかでも主将とか部長とか。この中で一番強い人って だれなんですか？」

「秋野ってば なにその ざっくりした質問、わかんないよ そんなのー。いや…、わかるわ。わかる……」

「名人…」

“詩暢ちゃんが札に愛されてる人だとするなら、新は 畳に愛されてる人。同じ畳の上にいたら神様が置いた宝物みたいに感じるの”

現名人の、綿谷 新！

「北央に負けたら全国優勝無理じゃん どうしたら――！？」

「凛月 田丸先輩のこと忘れてるよ」

「あー！そうだ！！ 田丸先輩がもう一勝… でも足りねえ――！」

「ぼくも がんばるけど」

「……千隼…」

「北央のＡ級の人とガチでやって… 5枚差？ こんな始めたばっかりで？」

「顔隠すなよ 千隼。かるた やりにいこう、胸張っていこう、人生 変えにいこう」

「もちろんです、今年も瑞沢高校は全国でトップの成績を残します」

えっ

「……」

「それはすばらしいですね。負けたらその程度の部活だったということで、うちの子は辞めさせますよ」

「よろしいと思います」

え――――――――――――――――

（なんか以前もこんな安請け合いをしたことが…）

「まあ、やることは同じです。みなさん 頑張ってくださいね」

女帝～～～～～～～～～～～～

「ありがとうございました」

「ありがとうございました」

【綾瀬○－花野×　19枚差】

「……私 ずっと先輩のこと、怖くて、尊敬もしてるのに好きなところもあるのに、き…嫌いって思う自分もいて。先輩はすごい人だから 部のみんなは絶対好きになる、空気が綾瀬先輩の色になる、持ってかれちゃうって思ってて………。でも、でも新しいかるた部 好きなんです。この子たちに強くなってほしい、先輩が怖いとか言ってられない。ダメな3年なりに がんばりたいんです」

「秋野――、秋野くーん。試合終わった？ どうよ結果、勝…………、え だれ？」

「あれ！？髪型、えー！？ 秋野！？」

「お――――――――？ 邪魔だろうなーって思ってたんだー 髪。どうよ かるた取りやすかった？ 初試合 楽しんで取れた？」

「うん…………。たっ…たの、楽……」

「長良、上級生にとっては『ちはや』って言ったら綾瀬先輩なの。綾瀬千早、現クイーンよ。秋野くんには悪いけど『千隼』って聞いても頭には綾瀬先輩が浮かぶの。私もめちゃめちゃ『ちは』は早く取れるけど、得意札って言えなくなった。綾瀬先輩の札だって思っちゃう。自分より早く到達するあの手を思い出すの。『ちはや』は綾瀬先輩のことなんだよ」

よくわかんないけど、先輩たちの前で『千隼』って呼ばないほうがいいのかな。

かるた部はいって8日で初段を取りたい一年と、中途半端なチームバランスなのに「全国優勝！」ばっかり言う一年。そんな強欲見たことない。

《ハッ》

うそ、見たことある。

「よ…よし、秋野くんの相手おれがします」

「じゃあ今日は一年生もみんな部室でやろう。安田さんと糸瀬さんは16枚ずつで」

「あ でも、一年は一年で」

「なに言ってんの。初心者は宝だけど、経験者が強くないと宝守れないよ。長良くんは田丸と取って」

千隼が初段を目指すなら、おれが瑞沢のエースでなきゃだめだろう。

「よろしくお願いします」

「ぼ、ぼくは……自分がかわいそうで泣くことは絶対しない。でも、だれかが優しいことがうれしくて、涙が出ることは、と…止めらんな…――ああ でもどうしよう、こんな高いものを……。ほかにもいろいろしてもらってばっかりで。お年玉…お年玉はくれる親戚がいるんだ。長良くん あの、待っててくれたら必ず返すから」

「スマホあげるから、助けて。3年間、おれが強いかるた部を作るのを助けて」