ゆめの守人、4巻 感想
※ネタバレ注意です※
ついに最終巻です。
思いが通じ合ったゆめと先生、その頃の羅雪と夜行もお互いを信頼し合い黒い蝶を捕えることができていて、先生もゆめの力で回復・・・と、もしかして全てが上手くいきそう!?!と思ったりもしましたが、そこはやはり厳しい戦いが待っていましたね・・・。
先生が最も恐れていたのは、ゆめが先生を守ろうとし、今度は自ら眠りにつくこと。
それを避けるためならば、体が壊れたって構わないと戦い続ける先生・・・!ステキすぎます・・・!
白い蝶を借りて何とか天界の術者を消すことができたけれど、ゆめはもう孤独よりも先生を守れないことの方が、怖くなってしまっていたのですね。
先生が絶対に阻止しようとしていた結果になってしまったわけですが、でもゆめの決断はどうしようもないことだったと思います。
大切な人を守れる方法があるのに、それをしないでただ待つというのは・・・難しいことでしょう。
だからこそ、先生もゆめがその決断をする前にと焦っていました。
先生より強い蝶の力をゆめが使い眠ってしまったのなら、もう誰も起こすことはできない。
それを知った後の葵が泣かせます・・・!
しっかりしなくちゃ、と無理して笑っていた葵が、雅に支えられて涙を流し、悔しい気持ちを素直に話してくれました。
ここが本当に辛くて泣けるのです。
でも葵が一人でその気持ちを抑え込んでいるほうが辛いので、雅がいてくれてよかったなぁと思いました。
もう何をしても意味はない――、そう思っていても諦めない先生がまた切なかったですが、意味がないなんてこと、なかったんですね・・・!
ゆめが再びの眠りについても一緒にいた、先生のクモ。
この子が、ゆめと先生に奇跡を起こしてくれたと思いました。
ゆめが先生を救っていたこと、先生がどれだけゆめを守りたいと思っていてくれたかということ、それらを知らなければ、ゆめの眠りの結界が揺らぐことはなかったでしょう。
そして再びゆめを眠りから覚ます先生――――
全てが感動的でした。
目覚めたと同時にお別れなんて、ものすごく切ないけれど、でも悲しいだけのお別れじゃありませんでした。
ゆめが「大切な人達が生きる世界を守りたい――――」と願って穏やかに笑っているのですから。
季節が巡り、蝶を世界中に散ばせて戻って来たゆめ。
封じるのではなく広い世界に解き放つことが、たった一つの蝶を消す方法――――
先生がびっくりするほど早く答えを見つけ出したゆめは、もうすっかり大人の女性で何だか淋しく感じたりもしましたが、でもそれはゆめの成長が見事に描かれてきたからなのでしょうね。
ようやく平穏が訪れたゆめと先生が、とても幸せそうなラストでした。
とにかく美しい結末だと思います!
天界の術者と戦う時の先生の言葉、消える間際の術者の思いも、考えさせられるところがありました。
そしてラスト2話は本当に泣けました・・・!