もくじ
ちはやふる 末次 由紀さん、42巻 感想
※ネタバレ注意です※
214話、215話、216話、217話、収録
いよいよ千早の夢であったクイーン戦が間近に迫ってきました。
受験生であることもあり、かるた部を一緒に立ち上げたかなちゃんに札ガールを頼まなかった千早ですが、着物の準備にはやはりかなちゃん。
受験も間近に迫る中で、それに真摯に応えるかなちゃんとの友情に胸が温かくなりました。
「応援には行けませんけど、私の全部で千早ちゃんを守りますよ」
その言葉と着物があれば、きっと千早はかなちゃんの思いを忘れないし、強くなれるだろうと思えました。
そんな素敵な友人かなちゃんですが、実はかなちゃんのお母さんも素敵な方です。
受験生としての立場を自覚し、親友の晴れ舞台を見ることを諦めようとしていた娘の背中をおしてくれました。
娘の人生において受験も大切なことだけど、部活動もその仲間も大切にしてよいのだと言ってくれました。こんな母親になりたいと素直に思えました。
最新刊でもう一つ胸が温かくなった場面は、姉である千歳が千早のために動くシーンでした。
クイーン戦と同時期、千歳は仕事で別の場所へと旅立っていました。
そして、なんと二人が現地入りした夜に父親のうっかりで千早と千歳のキャリーバッグが入れ替わっていることが発覚したのです。
千早がクイーン戦で着るはずだった着物は、遠く離れた千歳の手元。二人ともパニックになります。
慌てて電話をした千早ですが、姉の大ファンでもあるので着物を持ってきてほしいとは言いだせませんでした。
しかし、千歳は迷わず千早のために動いていてくれました。
今まで素直に妹を応援できなかった千歳のその行動には驚きもしましたが、それ以上に本当に嬉しく涙がこみ上げました。
自分の仕事に責任感を持っていた千歳は、勿論自分の現場にも迷惑にならないように、だけど、千早のクイーン戦にも間に合うようにすると言い切り、千早にはそのまま明日に備えるよう声を掛けました。
元々格好いい姉ですが、作品が始まってから一番格好いいシーンだったと思います。
ただ、そんな千歳の努力も、自然の驚異の前には及ばなかったのですが。
千歳の思いも全部千早の力になっていると思います。
千早。かなちゃん。千歳。ここで取り上げた三人の女の子だけでなく、第二一四首から第二一七首までの四話のどの話でも様々な人の思いが細やかに描かれていて読むと胸が温かくなります。
次巻でクイーン戦が始まるのが、本当に楽しみです。