魔法使いの弟子が笑う時。、最終話 完結3巻 感想
※ネタバレ注意です※
物語の本質みたいな部分を理解するのがとても難しくて、読み解く過程は楽しかったです。
読みごたえがあり、何度も何度も読み返して、どうにか自分の中に完結させました。
前提に魔法使いが性格が捻くれていて更に一人で抱え込み続け助けを求められない悲しいサガっと言う部分が無いと完結しない物語だと最終回でも強く思いました。
拝島先生が悪と残忍の持ち主と思っていたら意外と優しい面もあり「大切なものを大切にするために、その大切なものを手放したのは正しかったと思ってる」と言う心の中はレオに向けたものなんじゃないかと思って読み進めると、レオは「大切なら手放さずにいれる方法を考えてくれよ」と怒りをあらわにしているシーンにぶつかり。
お互いを大切にし続けているのに噛み合わない2人はなんとも切なくなりましたし、レオは拝島先生を手放したくは無いのだと思いました。。
ショウはあこがれのヒーローになれたと思います。桜花の為だけのヒーローに。
無感情の桜花が大切な人を殺すことも死ぬことも止められて、締めに間違っていないと言う希望を持たせることが出来たのは、ショウの喜怒哀楽がハッキリした性格と何に対しても前向きに思う心だな、と思いました。
記憶を消されるとわかっていても、泣かずにまっすぐに桜花に友達と言い切ったショウは、とても強い女の子でした。
それに死にかけて生き返る描写は戦隊ヒーローにありがちな演出に、とてもホッコリしました(笑)
最終話に至るまでは淡々としていた桜花は感情が揺さぶられているな、と思うシーンが沢山ありました。
律を殺してしまった場面を思い出して吐いてしまったり、ショウを絶対守るため拝島先生ではなくレオと電話したり、今までの桜花だったらあり得ない行動。
ショウが関わった事によって、感情が無いと本人が思っていても、人間らしい感情に突き動かされて行動している姿に、心を打たれたのは言うまでもありません。
最後がクライマックスっと言えるほどにキラキラしているな、と思いました。
別れの悲しみに耐え切れず、泣き出し意を決して涙を魔法に変換していく桜花。
別れと言う悲しみがあるのに描写は桜花とショウの2人が輝く未来を迎えるだろうと思い描ける綺麗さでした。
てっきり恋に発展するのかなっと思っていたのですがショウにはハッキリと友達だと言われているし、そもそも無感情だった桜花にはどう表していいのか分からない感情だったのかもしれません。
「大好き」と言っていますが、何だったかは分かるのはもっと先の話だろうな、と。
でも桜花にとって「嬉しい」だったのは描かれている表情を見れば容易に読み取れる最後でした。
作品通して桜花が感情を得る、と言うのが柱になっていたので、最終話の構成は各キャラを使いしっかりと「喜怒哀楽」表現されていたと思いました。
嬉しいはショウを大好きだと思った桜花、怒るは拝島先生と桜花を重ねたレオ、哀しいは大切な物を捨てた拝島先生、楽しいは桜花と友達になり未来をのぞんだショウ。
それぞれの感情が最後のページの一文に集約されていて涙が出ました。
自分の感情は間違っていないのか自問自答しながら読める作品だな、と思いました。
オススメキャラは拝島先生です。設定が重すぎて最終話にして、さらに盛りこまれた過去や志で謎も深まり、ラスボス感があります。
と言うか桜花が主人公だけど影の主人公は実は拝島先生なのではないか、と思っています。
中世的な顔立ちっと言うかもう可愛いレベル。華奢なのかと思いきやスーツ姿はがっちり体系で、とてもよく似合っててイケメン過ぎました。
最終話ではレオと少しは距離が縮まった描写もあり、実はツンデレ要素も持ち合わせているのは、どう見ても最強の先生でした。
連れている使い魔のレビィもペットの様にじゃれたりする可愛いのに攻撃力が高いという、中々残忍な使い魔で拝島先生の性格を引き継いで居るのかな、と思ったりもしました。