あかのたち　最新話 / 10話

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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「俺…」

「生きてるのか…――？」

『文久二年（一八六六） 霜月 江戸』

「あー はじめさん 先に食べてる！」

（……出た）

「ひどい… 一緒に食べようって言ったのに…」

「まぁいいや おじさん 僕 エビと穴子～！！」

ドス

「うﾞっ」

「何度も言ってるが 俺につきまとうのは やめて頂きたい…」

「沖田くん」

「つれないなぁ～！！　　さっきも剣の練習を一緒にした仲じゃないですか！」

「…。」

「歳だって同じなんだし…　　あれ？ 聞いてますか はじめさーん」

ジュワッ

「わあ おいしそ～！」

「……」

（ここの親父は いい仕事するよな）

（揚げ加減も ちょうどいいし 種類も多い）

（近くの屋台じゃ ここが一番……）

じ―――…

「…」

「…」

「あの…なんで食べないの？」

「いやぁ 僕 猫舌なんで　おはずかし～～」

「あ！ 衣を外せば 早く冷めるかな？」

ギョッ

「あﾞつっ」

『そりゃそうだろ どうしていけると思った』

「だ…大丈夫ですか お客さん」

「き…　気にしないでください いつもこうで…　ちょっと変わってる人で…」

「それじゃあ いただきま～…」

はっ

「…って衣むいちゃったら ただのエビですねコレ！　　エビ天じゃないな！」

たはははは！

「‥‥」

「ごちそうさまっ」

「え！？」

「もう行くんですかー？」

「おーい はじめさーん」

『俺は 沖田くん(このひと)が苦手だ…』

『食の好みにはじまり』

【山口　・辛党 ・江戸っ子（熱いものは熱いうちに）】

【沖田　・甘ければいい ・冷めてればいい】

『いたるところでウマが合わない』

「やあ おいしかったですね～」

「うるさいよ」

「お前ヘン ヤダ」

「ひどい！」

「ひどいのは そっちだろ」

「はじめさん…」

ふ…

「はじめさん！ 大福売りだ―――っ！！」

ぐぎっ

「おーきーたーくんー」

「ごめんなさい つい…！　　おごりますから！」

『とかく ウマが合わない』

『出逢ったのは夏だった』

（――なんで）

『ひまつぶしに訪ねた 芋道場に』

『こんな強い奴がいるんだ！？』

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