悪の華道を行きましょう　最新話 / 12話

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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《――明六つ(日の出ごろ)――》

「八津 寒くないかい？」

「ええ　　旦那の温もりが 体に残ってますもの」

「かわいいことをいう」

「この温もりが消えぬうちに」

「また 早くきてくれないと　　嫌ですよ」

「……」

「いっ　　くちっ」

「うﾞ～～～～ 寒くないわけねぇってぇの」

「唱和！」

〔廊下で騒ぎますまい〕

〔つまみ食いは いたすまい〕

〔寝しょんべんは いたしますまい〕

〔お客様を大切にいたしましょう〕

「三津 おはよーさん…」

「おはよう 八津姐さん」

〔悪いことは いたすまい〕

「今朝のおかずは？」

「いもと油揚と汁だよ」

「しけてるねぇ　　ま こう景気が悪くちゃ仕方ないね」

《山田屋　八津》

「なあなあ あの唱和 前から思ってたんだけど」

「寝しょんべんのことまで神棚にいうなっての！　あははっ　　そんなことまで面倒みきれねーよ なぁ？ 神様」

「シッ！ 女将に聞こえるよっ」

「いやいや あたしなんかは こうやって 白いおまんまに毎日ありつけるだけで」

「ありがてえって思ってるよ」

《山田屋　三津》

「はあ！？」

「何いってんだい！ あたしは早く借金返して　　とっとと年季明け 迎えてさ」

《山田屋　江利耶》

「こんな所から オサラバしたいね」

「江利耶さん 「身請け」は考えないのかい？」

「むろん ありの方向で」

「江利耶さんの性格じゃ 身請けは無理だな　あははっ」

「三津！ おめーもな！！」

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