以前からくるみが出産するのでこの漫画はクライマックスを迎えるのではないかと思っていましたが、本当にその時がやってきた!という感じです。
病院はおろか生む場所さえままならない世界で出産するなんて、絶対過酷だろうなと予想はしていましたが、まさかアリの大群が近くにいる中、医者もおらず、ちょっと役に立たなさそうな旦那さんと2人きりで生むことになるとは思いもしませんでした。
経産婦として出産の進み具合は分かっていますので、くるみが苦しむのを見ながら「痛いんだよね」と自分の出産の時のことを思い出していました。
出産直前まで流星は父親として頼りない感じで、くるみが引っ張っていってる感じだったけど、この出産に立ち会うことで彼もひと回り、いえそれ以上成長したと思います。
生まれてきた赤ちゃんを受け止めて、口に詰まっていたものを吸ってあげるなんて、絶対ウチの夫にはマネできやしません。
女の子だから可愛い名前がいいなあ、できれば自然系の名前が~と思っていましたが、新世界に生まれてきた新しい命の「新(あらた)」ちゃんになるということで、それはそれで思い入れがあって良い名前でした。
本当はこの世界でどうやって子育てしていくのか気になるところですが(離乳食は?服は?教育は?戸籍は?等、リアルに置き換えると気になる点がやまほど)、どうやら無事出産したことでくるみ達に関するエピソードは終わりっぽいので、そこは想像の世界でしかないですね。
このお話を書く際に色々取材されたとのこともあり、漫画なんだけど妙にリアルな出産シーンが読めました。
ただ、この巻はくるみ一色というわけではなくて、他にもこの巻では花達が地下から脱出したり、嵐が落下しそうになったり、息を呑むシーンが色々ありました。
中でもおすすめは後半の要さんですね。
出産後動けないくるみ達をアリが狙うかもしれないと自ら油をかぶってアリをおびきよせ、おとりになるシーンです。
「さあ来い 油も血もあるぞ」と鋭い眼差しでアリと対峙する要さんが格好良いです。
この姿、実は誰にも見られていないんですよね。
皆が出産の余韻に浸っている中、いち早く現実に向き合った要さん。
責任者として最後まで仕事を全うされていました。
途中に出てくる「くるみの子供を見たかったな」がせつなくて、この台詞と読んで要さんはもう死ぬ覚悟が出来ているんだなと分かりました。
要さんは多少悪いこともしたけど、決して100%悪い人ではなかったのに。
最後の最後に願ったのが赤ちゃんを見たかったという願いだったなんて、それぐらい無理な願いじゃなかったのになと思うと惜しいです。