これまでに、主人公あゆみの元を訪ねてきた入れ替わりの経験者によって、赤月の日の言い伝えの謎が少し明らかになっていました。
今回でそれがもっと明らかになってきます。
それと同時に登場人物それぞれの過去などもわかるようになり、2巻は益々盛り上がることになり、サスペンス要素も加わって読みごたえがありました。
赤月の日とは、あゆみたちが暮らす赤月町に年に数回やってくる、昼間の空に燃えるように赤い月が現れる日のことです。
この日に、入れ替わりたい相手のことを思って自殺をする、それを相手に見られている、といった条件を満たすと、その相手と入れ替わることができるという話なのです。
しかし、あゆみにその話をしにきた入れ替わり経験者、元男性である王地正隆いわく、一度入れ替わってからは、二度と元の体には戻れないそうなのです。
その話を聞いたあゆみはがく然としていました。
この辺りは読んでいて、苦悩するあゆみを見るのは辛かったです。そこで火賀俊平の見せ場があってカッコよかったですら。
元の体に戻れなくてもあゆみはあゆみだから、ずっと支えると言っていました。
これまでクラスメートで友達だと思っていた俊平に告白され、あゆみは戸惑っていました。
元々恋人だった公史郎との関係にも悩んで、2巻は面白かったです。
入れ替わりを知ってからの公史郎の態度とは違って、元に戻れるように一緒に協力してくれた俊平の方がカッコいいと思って読んでいました。
そしてあゆみたちのクラスでも事態は動くことになります。
あゆみの友人である律が俊平に、最近海根さんとよく一緒にいるね、あゆみが好きだったんじゃなかったの?と尋ねたところ俊平が海根さんを好きになった、と答えました。
それがクラスでも知られることとなり、イケメンの俊平がお世辞にもかわいいと言えない海根然子を好きなのはおかしい、と言われるなか、誰がなんていっても海根さんは、自分にとってはかわいいと宣言したシーンが特に印象に残っています。
しかしその様子を見ていた然子は、元々自分の容姿にコンプレックスがあったので俊平のことを許せないと思っています。
それから公史郎に過去の話をするシーンも印象に残っています。
それまでは容姿のことで辛い思いをしたことがあり、高校に入学して初めて同じクラスになった公史郎が優しくしてくれたことから好きになります。
公史郎に告白しようとした矢先、公史郎が小日向あゆみに告白するつもりだとシーンに話すのを目撃しました。
1巻を読んでいた頃はわからなかったことが少しずつ明らかになってきて、それぞれの関係も動き出してきて、とても面白かったです。