腹黒カレシは溺愛をこじらせる　最終回 / 結末

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【１９世紀末　　英国ロンドン郊外】

〈ガシャン〉

「いい加減にしてお引き取りください」

「お嬢さまっ」

「まあ　　落ちつきなさいよ レディ・スワン　　お父上の残された財産など このオンボロ屋敷と年寄り２人の使用人だけでしょう？」

「私と結婚すれば なんだって買ってあげますよ　　それこそ 貴族さまにも負けない生活を」

「帰ってください」

「そうだよ　　さっさとお帰り！」

「何が貴族さまにも負けない だ！　　元々は鍛冶屋の息子のくせにエラソーに！ 成り上がり者が！」

「なんだと クソババア！」

「やかましい！　　二度とうちのお嬢さまに近寄ったら ただじゃ済まないよ！」

「……　　お嬢さま」

「………」

「あのような者の言うことなど お気になさらずに」

「ありがとう レイモンド　　大丈夫よ それに本当のことだし」

『ハイランド子爵だった父の突然の死によって　　明るみになった我が家の窮状』

「この分じゃ　　明日のパンにも困る生活になるわよね」

「まさか　あの馬鹿者の言いなりになるつもりじゃないでしょうね！」

「あなたたちのお給金も払えないのよ？」

「私共は　生まれた時から こちらのお屋敷でお世話になって参りました 今まで十分すぎるほどいただいております」

「そうですよ！　　お嬢さまのお世話をするのに お給金なんぞいただくものですか！」

「レイモンド ミセス・ジョンソン　ありがとう」

「考えたのだけどね！」

「私　　働こうと思うの！」

「「！？」」

「はい～～！？」

『心配しないで ２人共　　私 自立したいの』

「私の家庭教師(ガヴァネス)だった リントン夫人を覚えてる？」

「彼女　　結婚した後にロンドンで職業斡旋所を開いているのよ」

『きっと私にできる仕事があるはずだわ！』

「ここが　　ゴードン家ね」

「――何か」

「当家にご用でしょうか？」

『わぁ』

「あの　　私」

（さすが新興成金(ブルジョワ)宅 美形の従僕(フットマン)）

「リントン斡旋所から紹介されました メロディ・スワンです」

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