地味で目立たない私は、今日で終わりにします　最新話 / 39話

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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「酒が置いてねぇだと！？」

「あの… ほかの方のご迷惑になりますので…」

「あ！？ 俺に文句でもあんのかよッ！？」

「い…いえ」

「酔っぱらい？」

「昼から いやねぇ」

「関わらないほうがいいよ…」

「お客様 落ち…」

「うるせぇ！！」

「お客様は神様だろうが」

「ひっ」

「いいから酒持ってこいよ」

「ちょっと――」

《ガタッ》

「やめろ…！！」

「！！」

「いﾞ…ッ」

「なんだこのデブ！」

《ドスン》

「――フ…」

「たやすい…」

「あ…あの…？」

「お客様…　　えーと…」

『やばい』

「あー…」

「あとは　　警察の方に…」

『やりすぎた』

「おまかせします！！」

「あっ」

「なんだったんだ 今のは…」

「申し訳ありません お客様…」

「私の」

「ヒーロー」

『大崎弥勒 36歳 独身 無職　　身長は190cm 体重は120kg』

『髪はボサボサ ネット中毒者の童貞』

『それが俺』

『会社をやめて10年ひきこもっている』

『子供のころから太っていて　　よくいじめられた』

『“頑張って入った会社” 自分でいうのもなんだけど』

『営業成績は良かったと思う』

『なのに降って湧いたリストラ 表向きは「業績不振」』

「でも本当のところは――」

〔ウチは健康食品がウリの会社なのにさー〕

〔困るんだよなァ〕

〔お前みたいなデブがいると〕

『「太っているから」という あんまりな理由だった』

『張りつめた糸が切れてしまった』

『それからひきこもり続けて あっというまに10年』

『そんな俺が変わったのが』

《カチッ》

『動画サイトの『踊ってみよう』に出会ったから』

「わあ！　Ａｋｃさん 新曲踊ってるんだ！」

「３人コラボも すごくかっこいいなあ！」

「ん？」

「あれ この曲 結構古いのに若い子が踊ってる」

「名曲に歳は関係ないんだなぁ」

「……」

「うーん」

「思ってた以上にジムって たくさんあるな」

「どれもキラキラしててハードル高いし」

《ガチャ》

「ミロク？」

「！！」

「めずらしいわね」

「あら それ…」

「あっ　　姉さん」

「いやその スポーツジムでも はじめてみようかと」

「ふぅん… スポーツジムね　　それなら良いところ紹介してあげる」

『そんな流れで　　実八千(ミハチ)姉さんのすすめるジムに通うことに』

『なったのだけど…』

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