加賀谷次長、狙われてます！｜最新話44話【無料】ネタバレ

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2022年5月17日まで

『むかしむかし――― 九〇〇年くらい昔』

『中国は宋の国』

『都に異国の姫がやってきました』

「金国の皇女だって」

「おすな おすな」

「わー 見ろよ　　奇妙な服装！」

「変な髪型！」

「金は辺境の蛮族の国だ」

「兵士は熊のように強くて勇猛らしい」

「たしかにコワモテ」

「しかし こりゃ姫には期待できねぇな」

「熊みたいな女だったりして…」

〈スル スル スル〉

「わ… かわいい」

「意外…」

「きゅん…」

「手に乗せてる白い鳥は何だろう」

「知らねぇのか あれは海東青(シロハヤブサ)っていって鷹狩りに使う鳥だよ　　金国の名物さ」

「へー 隼を飼う姫様か…」

「あ！ 皇宮の正門で皇帝陛下が お出迎えになられるよ」

「よォーし　　花火準備！」

「タイミング合わせろよ　　皇帝陛下が正面に立たれた瞬間に一発目を上げるんだ」

「しっかりしろよ！」

「ススだらけのお前らと違って 俺はこのあと宮中の式典に参列するんだ　　そこで皇帝殿下から ごほうびがもらえるかが かかってるんだからな！」

「へーへー」

「ガミガミうるせぇなぁ」

「気にせず点火に集中しなさい」

「あっ はい　　凛之(りんし)さん」

《ドォン》

《シュル シュル》

《ドン》

「わぁ――」

「皇帝陛下～～」

「っしゃ 成功ォ」

「楽隊の演奏にあわせて どんどん上げるぞ」

「ウッス」

《もわ…》

「ゲホ　　ゲホ」

「ようこそ おいでくださいました 姫君」

《ドオン　　ドン》

「第九皇子 康王でございます」

「きゃー 皇子様――」

「康王様―――」

「ゲホ…　ここだけの話な…」

「康王殿下と金の皇女の縁組みが計画されてるらしい」

「まぁ 俺みたいに宮中にツテがある人間しか知らないことだがなー」

「私は姫君と同じ歳　　都のご案内役をつとめます」

「みろみろ 康王殿下と皇女 お似合いじゃねぇか」

「？」

「姫君？」

《たっ》

「凛之さん！！」

「凛之さん！」

「！！？」

「わぁ 今日も薬のにおい」

「会いたかった！！」

「……！！」

『宋の宣和五年 五月十一日 都大路――』

『国賓の姫がススまみれの花火職人に抱きつくという事案が発生』

『なぜ こんなことが起きたのでしょう』

『物語は十日前に さかのぼります』

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