年上御曹司は婚約者をイジワルに溺愛したい　最終回 / 結末

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『意味がわからない』

「あの女を引きずり出せっ　　聖女様の敵を殺せ…！！」

『罵声も憎しみも』

『身に覚えのない罪も もはやどうでもいい　　けど』

『よりにもよって どうして…』

『最愛の貴女に』

「でん……か…」

『殺されなければならないの――――…？』

『私 リーセル＝クロウは　　少し前まで このレイア王国で最も幸運な女性だった』

「よし」

「じゃあ いってくるね！」

「お嬢様あっ　　たまには帰ってきてくださいね！！」

「わっ」

「もちろんよ カトリン　　仕事に慣れたら休みの日は必ず帰るわ」

「王都 遠すぎますよ～～」

「――リーセル これを…」

「お守りだ」

「お前は頑張り屋だから　　無理しすぎないようにするんだよ」

「おじい様…」

「私 必ず」

「立派な王宮魔術師になってみせるね！」

『そうして のどかなバラルを離れ』

『王都での生活が始まった』

『仕事は思っていた何倍もキツかったけれど』

「これ今日中によろしくねっ」

「今日中！？ もう夕方ですけど」

「リーセル こっちも手伝って！」

「はい！」

『その分 給料も多いので やりがいはあった』

（今月は多めに仕送りできそうだわ）

『そして―――…』

「―――… 王宮魔術師殿　　名前はなんというの？」

「リーセル＝クロウと申します」

『田舎貴族という立場にありながら』

「ユリシーズ殿下…」

『この国の王太子に求婚されたのだ』

「貧乏貴族のくせに」

「最初から王太子狙いだったのよ…」

『王宮は慣れないことばかりで　　周囲には私のことを よく思わない人が多かったけれど』

（“王太子”とか関係ないっての！）

『彼がいたから幸せだった』

『２人なら』

『きっとどんな困難だって乗り越えていける』

『そう思った』

『彼女が現れるまでは』

「お初にお目にかかります　　アイリス＝ゼファームと申します」

『名門ゼファーム侯爵家の令嬢にして』

『百年に一度の希有な魔力を持つ』

『聖女が――――…』

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