同居した幼なじみは溺愛を我慢できない　最終回 / 結末

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「救国の英雄 ガラファント・アグラディアよ」

「悪しき魔竜を打ち倒した褒美に」

「いかなる宝も王の座でも なんでも与えよう」

「王よ」

「俺は今回の褒美として」

「聖女セナピノアを望む」

「セナピノアを俺の妻として貰い受けたい」

「陛下…！」

『英雄とはいえ あのような不細工に美しい聖女様を差し出すなんて』

「はい」

「よろこんでぇ！！」

し～～ん…

『あ』

『やべ』

『間違えたな これ』

『私と彼の愛の軌跡を語る前に』

『まず私とこの世界の話をしよう』

『私 聖女セナピノア・リネステは』

『令和の日本からの異世界転生者だ』

『私の第二の人生は　　貧しい農村からスタートした』

『当初の名前はノアだ』

『病か怪我か 飢えにやられるか』

『外に売り払われるか』

「これほど美しい子であれば きっと高値がつく」

『どうやら親としては 将来的には私を売ろうとしているらしかった』

『同時に この世界の真理に気づいたのは　　三歳の頃』

（…美しい？）

『現世の私は前世の私と そう変わらない』

『とても あっさりとした顔なのに』

『この世界は私の価値観とは美醜が逆転していた』

『いわく 人には知恵があり 神より与えられし魔法がある』

『ゆえに筋骨隆々なんてのは獣に近く野蛮で　　男女ともに ほっそりと小柄な人物こそが美しいんだそうだ』

『さらに 前世日本人の私が ごく普通では と感じるような』

『平たい あっさり顔が　　最上級の美形となり』

『私が美しいと感じるような　　顔の彫りが深く 体格の大きい人は』

『醜いとされてしまうのだ』

『そんな世界での貧しい生活の中』

『訪れた転機は 七歳のある日のことだった』

『私は両親に連れられ　　クルランディア・リネステ伯爵様を訪ねていた』

『強い癒しの力を持ち 爵位を継ぐ前は神官を務めていた伯爵は』

『巡礼の旅路の途中 父と知り合いになったらしい』

『極端に言えば 私はこの日 伯爵様に売られに来た』

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