黒崎くんは独占したがる　最新話 / 12話

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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〔――この電車は埼京線各駅停車 新宿行きです〕

〔次は池袋 池袋ー お出口は右側です〕

プシュ――

〔ご乗車ありがとうございました〕

『春の木漏れ日に舞い散る桜』

『春風が吹く　あの日―――…』

「…と　　いう訳で…」

「我が池袋支店に七名の新入社員が入りました　　更に一丸となって頑張って参りましょう」

「それでは皆様 よろしくお願いします」

「よろしくお願いします！」

「それじゃ資料作成 頼んでいい？ 出来れば今日中で」

「了解です」

「今お時間いいですか？　　この新商品についてなんですけど…」

「すみません 今大丈夫ですか？」

「おう なんだー」

「支店エースの相澤さんですよね？」

「はい 相澤です　　えっと…」

（新入社員の子だよな… 名前なんだっけ…）

「改めて自己紹介させて頂きます 前田夏菜です　　相澤さんのことは噂で聞いていました！」

「相澤さんの元で ぜひ勉強させて下さい！」

『物怖じしない物言いと　　意思の強い瞳』

『第一印象は「勝ち気な女」だった』

「よろしくお願いします！」

「え エースってほど大袈裟じゃないと思うけど…」

「えっと 前田さんの４年先輩の相澤です　　僕で良ければいつでも なんでも聞いて下さい」

「よろしくお願いします」

「はい！」

「あれっ」

「その机に置いてあるマスコット… ビッグス君？ ですよね」

「えっ　　よく名前 知ってますね！？」

「もしかして… ビッグスファンですか…？」

すっ･････

ば―――んっ

「実は……」

「えっ　シスタービッグスじゃないですか…！！」

「お揃いみたいになっちゃって すみません…」

「…ぷっ」

あははは

『これが　　俺とカナの出会いだった』

「行けェェェエ がんばれェェェ　　ほら前田も もっと声出せ！！」

「分かってますよ うるさいな」

『その後 共通の趣味の試合観戦に行ったり…』

『仕事を通して…』

『俺達は』

『自然と恋愛関係になった』

『それから２年の交際を経て――…』

『俺達は結婚した』

『そして』

『二人が結婚してから１０年が経った――…』

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