ガイコツ書店員 本田さん、最終話 完結4巻 感想
※ネタバレ注意です※
書店員の本田さん(なぜか自画像はガイコツ)の目線で描いた、楽しいお客さんや困ったお客さんのエピソード。
はたまた書店員さんのお仕事のエピソードあれこれや、個性豊かな同僚たち……。
そんな内輪ネタを中心とした、コミックエッセイシリーズ。
アニメ化もしましたが、とうとう全4巻で完結してしまいました。
一冊目から楽しく読んでいましたが、途中で本田さんが書店を辞めてしまったり、色々(ネタがない)などご苦労もあったようです。
出版社の方から聞いた大作家さんのエピソードなど、漫画に描けないネタも多かったようで。
最終回はなんと、書店を辞めた後の本田さんが、漫画の作者として台湾へ行くというお話でした。
新しい担当の【シバイヌ】さんが疲労で遅刻しかけたり、出発からバタバタとトラブル続き。
漫画としては面白いけど、ご本人たちは大変だったでしょうね……。
ちなみに新キャラのシバイヌさんも、以前から登場している【アザラシ】さんも、顔が動物です。
身体が普通に人間なので、そこがまた面白い。
夏だったので、もの凄い暑さとスコールなど、天候的にも大変だったようで……。
それでも現地の出版社では、皆に暖かく迎えてもらっていました。
なんと本作「ガイコツ書店員~」の台湾版を出版している、角川書店の台湾支社にもお邪魔したり。
自分の漫画を手掛けてくれている人たちに会うって、すごいレアな体験ですよね。
「台詞が多くてスミマセン!」と恐縮したり。
でも、描き文字も元のニュアンスに近付けている・ローマ字でルビをふるなど、スタッフさん達のコダワリが垣間見えて、興味深かったです。
少しでも元のニュアンスを壊さず、それでいて面白く、分かり易く……言葉の違いもあり、難しいことでしょうね。
「途中で作家が逃げた」などの【編集あるある】エピソードを訊いたりなど、読者としても面白く、好奇心が刺激されました。
そうそう、「台湾の漫画は、どこまでなら規制されないのか」というのも面白いエピソードでした。
国によって、アウトな線引きが違うのですね。
例えば、乳首は描いても大丈夫なのか。
さらに言えば、女性の乳首は駄目だけど、男性のなら大丈夫、とか……。
「お尻は描いても大丈夫」など、具体的な説明が多く、吹き出してしまいました。
「商業誌は規制が厳しいけど、同人誌はゆるい」など、日本と違う部分も……日本は両方厳しいみたいですけど、そういうのも国によって違うのですね。
漫画好き、本好きとしては、とても面白い回でした。
そしてそのまま、なぜか台湾の同人誌即売会を見学する本田さんたち。
フードコート付きの公園が隣接していたり、露出度高い売り子さんがいたり。
日本と違う部分も同じ部分もあるようで、そこもまた興味深かったです。
あとは台湾の書店を巡ると、お客が床にベタ座りで本を読む光景も……!
「カードキャプターさくら」「銀魂」「手塚治虫作品」など、日本の作品があちらでも愛されているのが、ダイレクトに伝わってきました。
中国語訳されたものはもちろん、日本語の原書を求める人が多いというのは意外です。
こういう身近なところから日本や、日本語に興味を持つ方もいるのかもしれません。
あと「紀伊国屋書店」は、台湾にも支店があるんですね~、凄い!
こうして外国の様子を、絵と文章で垣間見ることが出来る……コミックエッセイの、良いところだと思います。
文章だけより、絵で伝わる部分が大きいからです。
最後になぜか台湾で、輸入された和書を購入してしまった本田さん。
なぜ、わざわざ台湾で……あまりの暑さと疲れで、ぼーっとしてらしたんでしょうか。
そんな行動もおかしく、最後までたっぷり笑わせて頂きました。
実は本編の後にオマケもあるのですが、連載としては24話が最終話のようでしたので……。
またいつか、新作が読めたら嬉しいです。