NARUTO -ナルト-、最終話 完結72巻 感想
※ネタバレ注意です※
もはや説明不要の大人気漫画、「NARUTO」。
その最終回を、私はリアルタイムで週刊少年ジャンプで読みました。
なんと最後は、一挙に二話掲載という豪華な計らいで、驚いたことも覚えています。
でも世界中に大人気の作品なので、特別措置にも妙に納得……。
最終話のひとつ前は、少年時代の終わり。
そして最終回では、少年少女だったレギュラーメンバーは、皆大人になっていました。
夢を叶えた者、家庭を作り親となった者。
中でも驚いたのが、主人公がいきなり二児の父親になっていたことでした。
同級生のヒナタと夫婦になり、息子ボルトと娘ヒマワリと、共に暮らす彼。
昔に比べて他の里との文化交流も進んだのか、街並みがサイバーチックになっていたのも、時の流れを感じました。
大人になったナルトは背が高く逞しく、髪も短くて男っぽい感じ。年齢は、恐らく三十代。
最初はあんなに幼くて、心も身体も未熟で可愛かったのに……と、親戚の子供のような気持ちでシミジミしました。
でも、あの最終回はとても良かったと感じました。
なぜならナルトは、ずっと暖かい家庭に憧れていたから。
産まれた日に父母を亡くし、ある理由から周りにつまはじきにされていた彼。
寂しさを紛らわし、大人たちの注意を引こうと、さんざん暴れてイタズラを繰り返していました。
そんな彼の寂しさに気付き、寄り添ってくれた最初の大人が、恩師の「うみのイルカ」先生。
やがて彼は自分の努力で周囲の見る目を変え、たくさんの仲間に信頼され、慕われるようになりました。
コロッと態度を変える周囲に不信感を持ったこともありましたが、やがてそれも受け入れる本当の英雄へと成長します。
彼の傍には今、心から信頼し頼りに出来る、たくさんの家族や仲間、友人が……。
降ってわいた幸運じゃない、彼自身が地道に積み重ねてきた結果が、今の状況なのだと……。
そして落ちこぼれだった頃から、ナルトに好意を寄せていたヒナタと夫婦になったのも、すんなり納得出来ました。
ナルトが落ちこぼれだった頃も、里を救った英雄の今も、ヒナタの思慕は変わりません。
ただリーダーとして忙し過ぎて、あまり家族を構ってやれないのが辛いところ。
息子・ボルトは父親に構って欲しい気持ちから、かつてのナルトのようにイタズラを繰り返しています。
そんな彼の気持ちが分かるから、きちんと叱りながらも「お前だけの父ちゃんじゃいられない時もある」と、しっかり説明しています。
そして、そんな父子を暖かく見守るのが、かつての恩師カカシ先生……。
成長した弟分の木の葉丸が、今や息子の先生だったり……時の流れに驚いたり、しんみりしたり。
亡きアスマ先生の遺児が成長して、要人の警護が出来る頼もしい忍者になっている点にも、ジンとしました。
ナルトのライバルにして親友「サスケ」も、彼を慕い続けた「サクラ」の想いを受け入れ、夫婦になっています。
彼の娘「サラダ」も、任務で旅ばかりの父親に、寂しい想いをしている様子。
忍術は一流でも、それぞれ家庭にちょっとした悩みを抱えるナルトとサスケ。
仕事に打ち込むほど、子供と遊ぶ時間を持てない……一人の悩める父親である点が、なんとなく人間臭くて好感が持てます。
そして、落ちこぼれ時代から唱えてきた「俺は火影(里のトップ)になるんだ」という夢を、とうとう現実のものにしたナルト。
何度無理だと言われても、笑われても、ナルトは夢を諦めませんでした。
そこには、四代目火影だった亡き父や、精神世界で再会出来た亡き母の存在も、大きく関係している気がします。
精神世界で初めて母「クシナ」と出会い、自分が父母に愛されていたと知ったナルト……あの瞬間、きっと心から自分を好きになれたのだと。
ナルトには夢、家族、恋、戦いと、色々なテーマを込めた作品だったのだと、改めて感じました。