7SEEDS、最終話 完結35巻 感想
※ネタバレ注意です※
主人公たちは地球滅亡を阻止するために選ばれて、数カ所に分かれたシェルターから今が何時かも分からないまま、荒廃しきった未来の地球に放り出されてしまう。
チーム内でもめごがおこるのはもちろん、必要な物資を探しすために危険なところにも行かなければならず、命を落としてしまうことも。能力のないものは厳しく淘汰され、力ないものに従うか別れて別の道を進まなければならないのです。
しかしすっかり環境が変わってしまった日本で生きていくには力を合わせなければなりません。いがみ合っていたチーム同士も、だんだんと互いの必要性をかんじるようになってきます。
最終話では、これまで全くまとまることがなく、敵対していたた各チームが佐渡ヶ島一箇所にあつまり、まだ人工的に眠らされている子どもたちのカプセルを探し当てます。
古い建物はどんどん崩壊してくる中、カプセルだけはどうしても見つけて子どもたちを助けなケラばならないため、全員が自分ができることを精一杯務めるのです。
そんな中に十分な設備のない中で、未来に送らされ若いカップルたちの出産が始まってしまいます。
「ここでは何が起こるかわからない」『出産で死ぬこともあるかもしれない』と不安がる妊婦にも皆で精一杯励まし、生まれる瞬間は誰もが固唾をのんで生まれるまで待ち続けるのです。
到底いいパパにはなりそうになかった相手役の男性も、生まれた赤ちゃんを見て、態度を一変させます。
崩壊する山から脱出をしようと道を見つけるもの、新しい命を産み落とすもの、まだ眠ったままの子どもたちを助けるもの、それぞれ全く違った行動を取りつつ、ようやく心を一つにしていくのです。
キャラクラー一人ひとりがとても魅力的でどのキャラにも自分に通じる部分が見いだせるのではないでしょうか。
これからまた改めて自分たちの国を作っていこうという強い意志があふれる名作で、少女漫画ではありますが、男性にも、大人の方にも読んでいただきたい漫画です。
シェルターは日本中に点在してあり、その別々のシェルターカプセルの中には、カップルが離れて入っていました。この二人は作品を通じてずっと会えないのです。近くに来ていることをわかってもすんでのところで会えない。
しかし最終話ではようやく元気な姿で対面することが出来たのです。
その時のカット割りは、本作の田村由美さんが前作の『BASARA』でも用いられていたカットを彷彿とさせれます。自作品のオマージュと言えるでしょう。
最終話と同時発売になった番外編では、村もある程度再建し、メンバーの長所・短所を互いに理解し合い、その中で今後どのように生きていくべきかという第二の試練が生まれてきます。
あるものは生きている人間をもっと探そうと船を出そうと考え、唯一動く船に乗って世界へと出発します。
結局これから原点で日本の再建をしていかなければならないので、かれらにはまだまだ課題がたくさん残っています。
そのため、具体的に『ここで終わり』という描写ではなく『ここから』というような表現になっています。
ストーリーの濃密さはもちろん、サバイバルに関する知識も得られる漫画ですので便器用になる部分も多いですよ。
少女漫画らしい恋愛展開的なシーンも有るにはありますが、生きるか死ぬかの世界の中での恋愛は二の次なのですね。
過酷な状況の中でも男性顔負けの知識や技術を駆使して活路を見出す女性陣のたくましさも魅力的ですよ。
人の成長と、人の弱い部分を本当に突きつけられる作品です。
どうしてこの人選をシェルターカプセルに入れるのかという、政府側の葛藤も見せてくれるので、双方の目線から物語を読み勧めていくことが出来ますよ。