サプリ、最終話 完結10巻 感想
※ネタバレ注意です※
最終話で、CMプランナーの主人公は、今までに仕事一筋で生きてる人生の中で、ふとした瞬間に、自分という存在を振り返るたびに、30歳を過ぎて、今のままで良いのだろうか、仕事でヘトヘトになって家に帰り、寂しいと感じる自分。
同じ仕事をしてきた同僚は、同じように迷い、安心感である心の支えであった彼に家を出ていかれ、実際には彼の正体も何も知らなかった中身のない関係を家を出ていかれてから気づかされ、自分と彼氏とは一体なんだったのかの迷いの果て、自死してしまい、同じような境遇にある自分に重ね合わせ、主人公は相当なショックを受けました。
精神と肉体がボロボロになった時、彼氏に会いにいき、それでもやりきれない思いが溢れて、一緒に愛し合っているときも涙が止まらなくなります。
仕事先で知り合ったカメラマンである彼はそんな主人公が精神的に病んでいる状態に、さよならしようと言って、お葬式をあげようと、主人公の心に向け線香をあげてくれました。
そんな優しい彼氏に支えられながら、なんとか気持ちを切り替て仕事と今の状態と生きていく人生を迎えようとした時、唯一の心の支えであった彼が、カメラマンとしての海外への独立への仕事に誘われます。
海外へ行っても成功が約束されているわけでもなく、才能だけが買われ、これからどうなるかの保証もないのですが、彼氏も同じように仕事一筋なタイプで生きてきて、お互いがお互い寂しさを埋めるように会い、愛し合い、さらにこれ以上踏み込む関係にはなれないまま繋がりあってきた関係に、このままではいられないかもしれないという現実をまたまた突きつけられます。
お互い、新しい世界に踏み込まなくはいけないという、境地に立たされます。
結局、彼氏と別れることも自分自身が仕事を辞めてついていくということも選択できないまま。
彼は相談することなく、別れを言い出すわけでもなく、関係を続けることを約束するわけでもなく海外へ旅立ちます。
彼が海外に旅立ち、しばらくすると主人公の身に変化が起きます。つわりの症状に襲われ、自分自身が妊娠していることに気づきます。
それから1年が経ちお互い連絡し合うわけでもないまま彼氏は仕事で見事に成功し、カメラマンとしての名を海外先でも残すことができました。
日本に帰国して主人公と会いたくて、お互い離れていても会いたいという思いはあったのですが、連絡を全く取っていない状況だったのでお互いのことがわからなかったのですが、主人公は子どもを産み育てながら仕事を続けていたことがわかりました。
それから、お互いの仕事仲間からお互いの居場所がわかり、主人公は子どもを胸に抱きながら海外から帰ってきた彼に会います。
言葉にならない2人は抱き合い、彼氏は主人公にぶたれます。
そこで抱き合いストーリーは終わります。
最後終わりの方は、セリフなどがあまり書かれてないので読者の想像でしか話が読めないのですが、子どもを産み育てながら今までしていた仕事を必死で続けていたというように同僚が話すシーンがあって、あまりにも最後の2人のシーンがあっさりし過ぎていて、子どもを育てたことがある自分が想像してみてもそれまであった仕事姿のリアリティがいきなり無くなった感じがしました。
けれど、仕事と恋愛と向き合う30代女性の心理や感情や思いを代弁してるようで胸が締め付けられるシーンがたくさんありました。
自分もこんな夢中になれるものに出会えたり、熱くなれる仕事をしたい、主人公が才能のある彼を自分が一緒にいたいという理由だけで、引き止めなかったように相手の自由や生きがいを尊重してあげられるほどの器を持ってみたいと思わせてくれるストーリーでもありました。