ちびまる子ちゃん、最終話 完結17巻 感想
※ネタバレ注意です※
ちびまる子ちゃんの最終話は第1話の「おっちゃんのまほうカード」のリメイク版で、ちびまる子ちゃん誕生25周年を記念して平成23年のりぼん8月号に掲載された作品です。
一話完結の物語なので最終話だけでももちろん楽しめますが、1話のリメイク版なので1巻を持っている方は1話と比べて読んでみると様々な発見があって、もっと楽しめます。
物語は終業式の先生の「二学期に元気で会いましょう」という挨拶から始まります。
他のクラスメイトたちは計画的に荷物を持ち帰っていたため、最終日は身軽になっていたのですが、まる子は荷物を溜め込んでしまっていたため最終日に荷物の持ち帰りで苦労してお姉さんに荷物を持ってもらおうとしていたのですが身軽なお姉さんは「なんでちゃんと持って帰らなかったの」と呆れています。
「ヘチマだけでも持って」と頼むまる子にお姉さんは「ヘチマだけは嫌」と言ったところで工作で作ったチャッピーという名前の人形がランドセルの蓋の部分から落ちてきます。
最終話は絵だけがリメイクされているわけではなくて、所々に描写が少し変わった部分があります。
第1話の同じシーンではお姉さんも荷物を溜め込んでしまって持ち帰りに苦労しており、その後ろ姿が「バカなやつ。どんな顔だか見てやろ」と顔を見たらお姉さんだったというシーンがありましたが、最終話ではお姉さんはしっかりとした性格になっています。
そっくりな姉妹という初期設定も好きでしたが、テレビ版のちびまる子ちゃんに近い雰囲気が好きならば最終話の方が楽しめると思います。
お姉さんの性格だけではなく、絵の雰囲気もテレビ版のような優しいタッチになっています。
コマ数が整理されて絵やセリフは少なくなっているにも関わらず、話のテンポが良くなっているところで、さくら先生のキャリアを感じることができます。
特に大きく変化したのは、一つ一つの絵がとても丁寧であることと、顔の表情のバリエーションが広がっていることです。
しっかりとした性格のお姉さんですが、まる子がチャッピーを落とした直後に、たくさんの子供たちが集まっている場所に行って、怪しいおじさんが絵の変わるまほうカードを「タネも仕掛けもない」と言って見せびらかしているのを見て、すぐに家にお金を取りに戻る子供らしさが残っている部分は可愛いと思いました。
家に帰ってお母さんに100円をねだる、まる子とお姉さんですが、お母さんは「まほうカードなんてインチキに決まってるでしょ」とお金はくれませんでした。
お姉さんが「私の貯金持っていこう」と言ったところでお母さんが「無駄遣いするんじゃないの」と言いましたが、小学生にも関わらず貯金をしているお姉さんって立派だと思いました。
おじいちゃんにお金をもらってから急いで、まほうカードを売っていたおじさんがいた場所に走って行きましたが、半分づつに絵が描いているだけのカードが落ちていました。
「やっぱりインチキだったね」「タネも仕掛けもあったね」と言って、まほうカードを買っていないにも関わらず、まる子とお姉さんはとてもがっかりした表情になりました。
お姉さんの方が汗をかきながら早く走っていて、まる子は早いお姉さんを一生懸命追いかけていたので、お姉さんの方がまほうカードを楽しみにしていたのかもしれませんが、お姉さんはすぐに「本物ならあんなおじさんが道端で売ってないよ」と笑います。
「家に帰ったら通信簿見せなきゃ」と落ち込んだ表情のまる子に「寝る前に見せてすぐに寝たふりすれば」とアドバイスをしたお姉さんが「かき氷食べにいこう」と言ってかき氷屋さんに行くシーンで最終話は終わります。
夏休みではなくて終業式当日をテーマにしたちょっと珍しい漫画ですが、終業式当日のワクワクした気持ちの描写がリアルで大好きな漫画です。