赤ちゃんねこひろいました!、最終話 感想
※ネタバレ注意です※
作者の「弘中まき」さんを、初めて知った作品です。
二人のお子さんとご主人と、北海道で暮らしている作者さん。
そんな彼女が、畑に捨てられていた三匹の子猫を保護したことから始まった、この漫画……。
最初はネズミの子のように小さく、頼りなかった三匹の子猫たち。
それが最終回では、ずいぶん成長していました。
まだ子猫だけど、ミルクをあげる時に手からはみ出るし……。
丸くて小さかった耳が、三角で大きくなり、立派に存在を主張するようになりました。
その対比がちょっとリアル、かつカワイイという、絶妙な絵柄で描かれており……。
「うんうん、ここまで大きくなれて、本当に良かったね。これからも元気で、すくすく育ってね」と、なんだかもらい泣きをしそうになりました。
だって最初はトイレも自分で出来ないし、猫カゼで涙と鼻水が……。
作者の弘中さんが、毎日毎日、ヒイヒイいいながら、三匹のお世話をしているのを、漫画で拝見してきたから。
幸い優しい旦那さんと、娘さんと息子さんもお世話を分担してくれたので……本当に良い、素敵なご家族ですよね。
特に犬派で犬を飼いたかったのに、捨てられた子猫を放り出せず、飼うのを許したお父さん。
なぜか子猫三匹にモテモテで、遊んであげたり、お腹に乗せて昼寝したり……微笑ましくて、ニヤニヤしてしまいます。
一番世話をしているのは、私なのに! と弘中さん(奥さん)が怒るのも、無理ないですが……。
最終話の扉には、少し成長したシロちゃんのアップが。
まだまだ幼いけれど、だいぶ猫らしくなってきました。
口の周りに、飲んだばかりのミルクがついているのも、子猫あるあるで可愛いですよねえ……。
本当に、「リアルと可愛いの境目」という独特の絵柄が、本作の堪らない魅力だと再確認しました。
漫画を描き慣れていない感じの絵柄ですが、そこも含めて、一人の主婦の残した記録という感じがあって。
最初はなかなかウンチが出ず、飼い主をヤキモキさせた猫三姉妹。
獣医さんに相談したり、濡らしたティッシュでお尻を刺激したり……。
それが今では、自分で猫トイレで、用を足せるのです。
猫じゃらしに飛び掛かり、ミルクをごくごく飲み、猫キックを玩具にかます……。
そんな「当たり前」のことが出来るようになるまで、どれほどの猫たちの、そして飼い主一家の、努力があったことか。
最初は、たったの220グラムでしたものね……。
生き物を飼うのはキレイごとではないと、改めてこの作品は教えてくれた気がします。
ウンチやオシッコの世話、二時間おきの授乳、目薬を差したり、身体を温めたり……。
お金もかかるし、手間もかかるし。
でも一生懸命生きようとする、可愛い健気な三匹の子猫たちを放っておくなんて、出来なかったのでしょう。
彼女たちを豪雨の中、畑に捨てた元の飼い主とは、何ていう違いでしょう。
ある意味、貧乏くじかもしれません。
捨てた人間は、しめしめと重荷を押し付けて、ほくそ笑んでいるかもしれません。
でも自分も、見捨てず保護する側でありたい……読んだ者に、そう出来るのか?と、問いかけるような作品ですね。
苦労も幸せも、細かいエピソードまで描いてありますから。
最終回のラスト、弘中さんは三匹の子猫を「人間でいうと、幼稚園児ぐらい?」と分析しています。
これからどんどん自我が育って、主張するようになって……お世話は大変だけど、可愛くて堪らない時期でしょうね。
二人のお子さんと暮らす、作者ならではの比喩でしょうか。
ともあれ、シロ・クロ・チャーの三姉妹のその後を、どこかで漫画にして欲しいです。
彼女たちが幸せに暮らす姿を、これからも見守りたいので……。
次の連載「拾ってみたら王子様」も、好きですけどね。