ご近所物語、最終話 完結7巻 感想
※ネタバレ注意です※
主人公の美果子が留学先から帰ってきて、デザイナーの夢を叶えるまでが描かれていて、感動しました。ずっと子供の頃からどこか人と違っていて、才能に溢れていたんだと思います。中学では周りと馴染めなくて浮いていた彼女ですが、大人になって理由が分かった感じでした。
ツトムがどんな時にも側にいてくれたことが、彼女を大きくしたんだと思います。留学している間も実果子を一途に待ち続けるツトムのまっすぐさに涙しました。これこそ、純愛と呼ぶべきではないでしょうか。実果子の父とタッグを組んで、最後は家族ぐるみで仲良しになれたのも、ハッピーな気分になれました。
実果子の髪型がくるくる変わりましたが、どれも可愛かったです。大人っぽくなった実果子に、心の強さを感じました。
異国での生活も、キラキラ星人の如月氏が居たからこそ、楽に過ごせたのかもしれないです。初めは言葉も通じず苦労したかもしれませんが、持ち前の明るさとド根性でやり遂げていく姿は、とても立派でした。
実果子の妹である美和子も、顔がとても似ていて可愛かったです。やはり同じ遺伝子を受け継いでいるだけあって、オシャレだと思いました。自分の子供でもおかしくないくらいの年齢の妹だからこそ、とても愛おしく感じるのではないでしょうか。やはり学校の制服を改造して着たり、髪型が思いっきり校則違反だとは思いますが、さすが勇気あるなぁと思いました。実果子の時はツトムが、美和子の時は徳森くんと嵐が居てくれて、学校が少しでも楽しくなるだろうと感じました。
実果子プロデュースのハッピーベリーというブランドの服も、街中で着ている子が増えていく喜びを感じました。昔はフリーマーケットでも全然売れなかったり、サイズを自分に合わせすぎて小さすぎたりと、課題はたくさんありました。そんな経験があったからこそ、検証能力が身についたんだと思います。やはり売れる服を作るためにも、マーケティング能力は必須なので、それを活かして作品作りをしたのだと思います。
初めは友達があまりできず、父親ともなぜか会えずに寂しい思いを胸にしまっていた実果子。それが、服を作る専門学校で大切な友達に出会い、大人になっても大事な仲間として繋がっているのが素敵だなと感じました。たまたま同じ時期に同じ学校に通っていたというだけですから、気の合う友達ができるということ自体が奇跡だからです。
父親と母親ももう一度やり直すきっかけになったのが美和子で、賑やかな終わり方で本当に良かったです。まさか父親と再会できるとは思っていなかっただろうし、のちにツトムも夢が見つかるきっかけになりました。まさに実果子とツトムにとっての転機ではないかと思っています。
専門学校時代の仲間たちはモデル事務所を経営していたり、エステサロンを開いたりと、それぞれ自分の道を開拓していて、素晴らしいと思いました。それぞれの得意な分野を学校に通う中でしっかりと見つけ、活かすことができたのですから、良かったと思います。
この物語は実果子のブランドの名前のように、誰もがハッピーになれるお話ではないかと感じました。読んでいてつい涙したり、感動できるのも、登場人物それぞれの性格が違うからこそです。その点は多くの方が共感する理由かもしれません。
実果子の大人になっていく姿を見届けることができて本当に良かったです。まさかツトムと結婚できるとは思わなかったので、幸せになってくれて嬉しかったです。今まで父親の話となるとギクシャクしていた母親との関係も改善し、気持ちの良い終わり方を迎えることができたのではないでしょうか。
デザイナーと母親の両立は大変かもしれませんが、生き生きとした姿はまさに「物語の主人公」そのものだと思いました。