境界のRINNE、最終話 完結40巻 感想
※ネタバレ注意です※
気楽に楽しめる、ゆる~い死神ギャグ漫画「境界のRINNE」。
ハードでシリアスな物語も好きだけど、この作品の何とも言えないゆるさ、何でもアリな世界観が大好きで、毎週楽しみに読んでいました。
しかし最終回直前は、ちょっとそれまでとは違う、シリアスめな展開が続きました。
なかなか進展しなかった、主人公の少年「りんね」と、クラスメイトの霊感少女「真宮桜」ちゃんの仲。
ハッキリ好意を伝えられないりんねと、ハッキリ言わないと伝わらない桜ちゃん。
お互い憎からず思っているのに、良い雰囲気になっては照れ、良い雰囲気になっては照れ……。
じれったい関係が可愛いけど、そろそろ両想いになっても良いのでは……そう思っていた読者は多いと思いますが、なんと不穏な方向に進展してしまうなんて……!!
「呪いの掛け軸」という妙なアイテムのせいで、桜ちゃんに誤解されてしまったりんねくん。
なんとか誤解を解こうとしますが、偶然が重なり、なかなか上手くいきません。
お揃いのブレスレットを質屋に売ったと誤解され、それが解けたと思ったのもつかの間、りんねのロクデナシの親父「鯖人」のせいで、桜ちゃんがピンチに……!
三途の川を渡り「輪廻の輪」に入ったら、生者といえど転生してしまう……!!
桜ちゃんを追って、りんねが一世一代の必死さで「輪廻の輪」に駆けつけます。
「真宮桜ーっ、どこだー!」
と。
その必死の面持ちに、
「六道くーん!」
と、大声で応える桜ちゃん。
無事な桜ちゃんの姿を見たりんねは、思わず駆け寄って、力いっぱいに抱きしめます。
苦しいと思いつつ、ホッとする桜ちゃん。
結局説明は無いまま、それでも何となく、お互いに気持ちが通じた二人。
ハッキリ言わないあたりが、現代的……というか、ヘタレなりんねと、ドライな桜ちゃんの恋愛模様にピッタリだと感じました。
しかし良いところで、りんねと桜に想いを寄せるライバル「鳳」「十文字翼」が駆け付けます。
「何抱き合ってんのよ!」
と死神の鎌でド突かれ、良い雰囲気はあっという間に雲散霧消……。
でも、こういうギャグ漫画のノリが大好きなので、この作品はこれで良いのだと感じました。
あまりシリアス過ぎると、照れ臭くなってしまうので。
「なんとなく仲直り」
して、
「なんとなくお付き合い」
が始まった、主人公とヒロイン。
そんなところも、本作品らしい最終回だと思います。
そして、ちゃんと他のレギュラーメンバーのその後も描かれていたのが、嬉しいところです。
りんねの知り合いの女性死神「四魔れんげ」はブラック会社(社長は鯖人)を辞め、憧れの先輩と同じ職場でバイトを始めます。
架印先輩とは、これから上手くいくかもしれない……と匂わせる程度の描写で。
これも、好きに未来を想像出来て、良い匙加減だなあと。
そして諸悪の根源である鯖人は、悪事が祟って指名手配に。
しかし賞金は僅か五千円なので、逃げるほうも追うほうも、イマイチ真剣みがありません。
彼は亡き妻の生まれ変わりである少女、苺の許へ潜伏してゴロゴロ。
前世の記憶を持つ苺とは、
「もう新しい人生だし、あくまで良いお友達」
と言い合っていますが……果たして彼女が成長したら、どうなるのやら?
そのあたりも含みを持たせる終わり方で、何となくニヤニヤ。
小学生でありながら、鯖人を「パパ」、りんねを「息子」と呼ぶ苺。
彼女たちのいっぷう変わった関係が好きだったので、ちゃんと最後に出てきてくれてホッとしました。
ライバルの鳳と十文字翼も、まだまだ諦めてないようだし……。
これからも、りんねと桜のドタバタ高校生活は続きそうです。
そんな夢のある、ゆる~い終わり方が、一番この作品にピッタリだと満足しています。
それにしても最終ページの桜ちゃんの私服姿、可愛かったなあ。
ムートンブーツなど、リアルで可愛い服装が、高橋作品の大きな魅力ですよね。