ヱデンズ ボゥイ、最終話 完結20巻 感想
※ネタバレ注意です※
とりあえず主人公のヨルンと、ヒロインのエリシスが、二人とも生き延びてくれて安堵しました。
「ヱデンズボウイ」はそもそも、少年少女のピュアな初恋物語から始まりましたから。
本作品には魅力的なカップルが多数登場しますが、ウルガーとフェニスが再会し、幸せになれたのは何よりです。
正確には「フェニス改め、カイドマ」ですが……要は、同じ人物ですものね。
千年の時空を越えて再会した、ウルガーとフェニス。
そしてブリュンヒルデと、夫のアグマイカ。
神話がテーマだけあり、深遠でスケールの大きいシリーズでした。
そして、私が個人的に一番好きなキャラクターは、エネフェア姉さんでした。
エリシスやヨルンの姉貴分として、時に優しく、時に頼もしい存在。
黒いタートルネックにワンピース、長い槍。
短いウェーブがかった金髪に金目と、ルックスもかなり好みです。
ヨルンへの恋心は最初から報われませんが、代わりに巨人族のダーカというパートナーを得ました。
彼女に惚れているみたいだし、けっこう良い夫婦になるかもしれませんね。
そして私が一番行く末を心配していたカップルは、「スパイクとデニルモ」と「ウィトーとヘアラ」でした。
どちらも、ひとまずハッピーエンドで何よりです。
かつて実妹のヘアラと、許されない恋をしたウィトー。
彼女が命を落とした後、生まれ変わりを見つけることを誓いました。
無事に転生したヘアラを、親に頼んで引きとったウィトー。
もうヘアラは実妹ではないので、結ばれることが出来ます。
でもヘアラは、まだ幼児。
ウィトーはヘアラを、今度は娘として愛すことに決めました。
確かに「お前を愛し続ける」という約束を、破ってはいません。
そして、長年行動を共にしたサクラさんと、結ばれました。
最初は驚きましたが、これが一番自然な形なのかもしれませんね。
サクラさんの、幸せの為にも。
養女のアリョーシャちゃん、メルーシャちゃんと共に、ヘアラを大切に育てていくことでしょう。
そして、スパイクとデニルモ。
最新に登場した時から、とても好きな二人組でした。
ハンサムで腕利きでクールだけど、どこかデニルモに甘えるようなスパイク。
そして、常に彼に寄り添うデニルモ。
今はコンビだけど、そのうちくっつくんだろうと思っていましたが。
終盤で判明した事実に、目が飛び出ました。
それはデニルモが、受精卵だったスパイクを胎内で育てて産んだ、いわゆる「代理母」だったということ。
遺伝子の繋がりは無くても、ある意味「産みの母」だったのです。
そしてスパイクも、そのことを知ってしまいました。
もう今までのようには、戻れないのか?
ハラハラしましたが……二人はそれを受け入れた上で、改めて恋人同士になりました。
スパイクにとって彼女は母であり、年上のパートナーであり、恋人。
良かった良かったと、胸を撫で下ろしました。
彼らの、お互い以外は要らないような関係が、とても好きだったので。
それにしても、ブリュンヒルデがデニルモに言った、「子供を産みなよ。今度はちゃんと好きな人の」という発言の意味が、ようやく分かりました。
第一部でデニルモが言った「神殺しにつけられた傷は、消して癒えることがない」という独白の理由も。
最初は憎い神への復讐の為に、神殺しを産み出す実験に参加した、デニルモ。
女神でありながら、神殺しを孕むという行動は、単に復讐の手段に過ぎませんでした。
でも身体の中で育て、産んだことで、スパイクに特別な感情が芽生えたのでしょう。
非人道的な実験で荒んだ、幼いスパイクを連れて出奔したのも、彼女なりの償いのつもりだったのでしょうね。
最終回で、男の子をもうけた二人。
これからは穏やかで、幸せな生活を送れるよう祈っています。