オルフィーナSAGA、最終話 完結8巻 感想
※ネタバレ注意です※
無印シリーズに続く、続編ともいうべき「オルフィーナSAGA」。
シリーズ開始から完結まで、かなり長い年月が経っていたようです。
あの人も亡くなり、この人も亡くなり……。
でも人の死を、時に残酷なまでに描写する、天王寺きつね先生らしいのかな、とも感じます。
とりあえずヒロインの一人である、ヒュレイカさんが生き延びてくれて何よりです。
主君であり婚約者でもある、最愛の恋人を失ってしまった彼女。
戦いを終え、彼の仇を討ち……今は穏やかな生活を送っているようです。
養女の「ニートちゃん」を迎えたのも、良い傾向なのかなと。
そして何より気がかりだった、主人公の「オルフィーナ」と、最愛の男性である「シスン」。
実はずっと進んだ文明の、他の惑星から使命を帯びてやってきた工作員の「ファーナ・リソル」。
それが偶然出会った、自分と瓜二つの王女「オルフィーナ」の意思を継ぎ、オルフィーナとして生きることになった……そんな数奇な運命でした。
偽の王女ではあるけれど、勇気と行動でたくさんの人々を動かして、惹き付けてきた彼女。
そしてファーナにとって、いつの間にか誰より大切になっていたのが、元暗殺者の「シスン」でした。
行方不明になったと思ったら、記憶喪失で性格が激変していたり、ファーナの命を狙う敵になったり……。
ハラハラしたものの、無事に本来の記憶と性格を取り戻した彼。
そして戦いが終わった後、ファーナは生まれた場所を捨てて、文明的には劣るこの惑星へ、帰って来ました。
工作員でも王女でも異星人でもない、一人の女性として。
彼女の帰りを待ち続けたシスンと、相棒の獣「トリファー」。
これからはやっと二人と一匹の、穏やかな生活を送れるのでしょう。
帰還したファーナの格好が、初めてシスンと出会った時と同じ、町娘風の衣装だったことに……ちょっとジーンとしました。
あとがき漫画では、どうやら子供も儲けた様子。
辛い戦いを経た今、穏やかな生活が続くことを祈るばかりです。
本当にお疲れ様でした!!
そして、私がシリーズ中で一番好きなカップルが、「シェタッフガルトと本物のオルフィーナ」でした。
仕方ないこととはいえ、シリーズ開始早々命を落としてしまった、本物のオルフィーナ王女。
ファーナこそが本物の姫と宣言し、自分は影武者として戦い、死んでいった彼女。
しかも死ぬ前に、敵国の兵士たちの慰み者にされて……過酷な境遇でも、最後まで王女としての誇りと使命を忘れない、立派な女性です。
美しくてたおやかで、優しくて……。
彼女の意思は、親しい友であるファーナに受け継がれました。
でもオルフィーナには、たった一つの心残りが……それは辺境へ滞在中の恋人・シェタッフガルトの存在。
元は平民の傭兵ながら、偶然出会ったオルフィーナに心奪われ、彼女の傍へ行く為に、死に物狂いで腕を磨いた彼。
騎士として異例の出世を成し遂げ、ついに近衛兵士にまで昇り詰めました。
オルフィーナとも相思相愛になり、国王夫妻にも認められ、晴れて婚約者に……。
幸せの絶頂だった彼は、恋人の死を知り苦悩のドン底へ落とされます。
自分が不在の間に敵国が攻めて来て、彼女を死なせてしまった……。
オルフィーナを守る為に強くなったのに、それを果たせなかったことは、何より辛い後悔でしょう。
彼女の仇を討つ為、戦いに加わったシェタッフガルト。
やり場の無い怒りと冴えた剣は、大いに味方の助けになりました。
最後はオルフィーナの墓を守りながら、穏やかな余生(まだ若いのに……)を送ったようです。
私は一途な人が好きなので、この作品の中ではシェタッフガルトに感情移入しながら読んでいました。
これからも生涯、姫を想いながら生きていくのでしょうね。
騎士と姫という身分差もあり、とてもツボにくるカップルでした。