鈴木先生、最終話 完結11巻 感想
※ネタバレ注意です※
最終巻は小川蘇美の魅力が本当に神がかっていました。文化祭の日、屋上にて、自分に暴力をふるおうとするミツルに対し、彼の動機や事情に耳を傾ける小川。彼女の真摯な姿勢に胸が熱くなりました。
小川自身のポテンシャルの高さはもちろんですが、鈴木先生の今までの教育の成果、そのものだったと思います。
偏見に捕らわれず、相手の事情に寄り添い、話合った上で、お互いにとって良い選択をする……。
そう書いてしまうと当たり前のことではあるのですが、極限の状況で、それができる彼女はまさに神の娘だと思います。涙が出ました。
また、小川は、「ここで自分が暴力を受けたら、自分に好意をもってくれている数人の男子たちが傷つき、ミツルと同じような犯罪を犯してしまうかもしれない」とミツルに話します。小川に思いやりと想像力は、底知れません。
ミツルが鎌を振って襲い掛かってきたとき、屋上から、鈴木先生のいる屋上へジャンプする小川。全話通して、誰よりもかっこよい小川ですが、このシーンはかっこよすぎて鳥肌が立ちました……。
こんな女子がクラスにいたら、きっと恋してしまいます。小川と一緒に青春を過ごした男子たちがうらやましいです(笑)。
その後、病院にて鈴木先生が小川に、なぜミツルの攻撃をわざと受けたのか、と問いかける場面も印象的です。
覚悟を決めてここまでのことをやってしまっているのに、確かな手応えを生で感じられないままでは、更生できない、と思ったと小川は話します。
小川、かっこいい……。私はこの作品に出会えて人生観が変わったように思います。
いかに自分が偏見に捕らわれて生きてきたのか、ハッとさせられました。
一方、文化祭では、いよいよ3つの演劇が上演されます。「ひかりごけ」「リア王」「神の娘」、どれも面白そうで、全部実際に見てみたいです……。
この文化祭を通して、生徒たちは大きく成長しました。自分の学生時代も、文化祭にはドラマがあったなあとふと思い出して、感慨深いです。
鈴木先生や校長先生が文化祭に強い思い入れを持つことに共感します。
確かに文化祭って、受験に関係ないですし、関係ない部外者も入ってくるので危険もありますし、必ずしもやらなくてもいい、という意見があるのもわかります。
それでも文化祭って生徒の成長に必要だな、と強く思いました。
文化祭のあと、鈴木先生が楽しい夢をみます。妻の麻美さんと、生まれてくる赤ちゃんと、3人で車に乗っている夢。ほのぼのするシーンです。
この車のデザインやファンシーな雲の描写、かわいいですよね(笑)。
ぜひ家族3人幸せになってほしいです。鈴木先生がお父さんってどんな家庭になるんでしょうか。想像するだけで楽しいです。
鈴木先生の家庭での教育理論も聞いてみたいです。
印象深いシーンが多かった最終巻ですが、個人的に足子先生が面白かったです。
笑っちゃいけないシーンかもしれませんが、「やるならわたしをやりなさい!」と足子先生が屋上に乗り込んでくる場面……。
緊張感漂う最終巻で、一番笑ったシーンです(笑)。
いろいろ問題を起こしていますが、キャラが濃くて、足子先生好きです。
いつか元気になって、また教員ができるといいですね。
また、面白かったシーンといえば、文化祭の開催をめぐって保護者と教師たちが話合うシーンで、3年生の剣道部副将の銅山京子と、剣道部主将の白金一美の母親が、びしっと意見するところ。
校長先生と鈴木先生の「来たー!!」に笑えました。
最後になりますが、中学校の先生たちって大変なんだな、と心から頭が下がる思いでいます。
また、教育って奥が深くて面白い!と感じました。鈴木先生の教育メソッドは本当に面白く、ためになります。
自分の偏見や人との接し方について、立ち止まって考えてみるきっかけになると思います。
たまに入る、真剣だからこそ笑いを誘うギャグシーンも面白いです。
多くの人に読んでいただきたい最終巻です。