月とメープルシロップ　最終回 / 結末

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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『高校２年生の５月 今年度最初の席替えをした』

「うわ また最前列」

「ねー１７番 誰ー」

「しゃべる人いないー」

『私はというと 窓際最後尾』

『となりはというと』

「ていうか 鈴木って休みー？」

〈ガタン〉

「あっ となり平山さんだー」

「よろしくー」

「あー どーもー…」

『人望厚き優等生 生徒会長…』

『…その生徒会長の話を 少ししますと』

《ＤＡＴＡ：九条くん 生徒会長》

『頭脳明晰 運動神経抜群』

『おまけに この美貌とくれば 女生徒のファンは星の数』

『それを鼻にかけない立ち振る舞いで 教師陣はもちろん 男子生徒からの信頼も厚い』

『人に言わせれば そんな彼はまさに「完璧」の権化でした』

（……ま　　三次元の萌えキャラとか 私にはどうでもいい話なんですけどね）

《ＤＡＴＡ：平山さん オタクの権化》

〈キーン　コーン〉

「じゃあ平山さん これ頼んだよ」

〈バサ バサ バサ〉

「…は！？ ちょっ…」

「速水先生！」

「図書室ね 鍵閉めたら俺の机」

〈バタ　バタ〉

「確かに頼んだからねー！」

「……マジすか」

「まったく… せっかく帰れると思ったのに…」

「図書委員って こういう雑用を わりと頼まれるのか…」

（ていうか今日 原稿の締め切りなんですけど！）

《同人作家》

「４時までに入稿… まあ即 帰れば なんとか…」

「あ　　平山さん 何してんの？」

「珍しいね 放課後はいつも早々と帰るのに」

『会長』

「あーいや… 先生に雑用を頼まれまして…」

（うわー 会長だー　　違う人種の人だー）

「え マジで？ 大変だねー　　いいよ じゃあ手伝うから それ貸して」

「え！ いや！ いいです 結構です！」

「いや 俺が やりたいだけだし やらせてー」

「女の子が こんなもの持っちゃダメだよ」

『わ～ぁ…』

「そういや俺ら 同じクラスだけど しゃべったことないよね」

「はぁ… そうっすね…」

『世界 違いますからねー』

「いっっつも 授業中漫画とか描いてるよね！」

〈ギクッ〉

「ウッ… あぁはい まあ…」

「もしや 同志様ですか！」

〈？〉

『ですよねー』

「助かりました　　ありがとうございます」

「いいよ 気にしないで」

「平山さんと結構話せて 楽しかったしね」

『うわー ほんと噂通りの いい人ですねー』

「では鍵を閉めて 出ましょうか」

（〆切！）

（〆切！）

「あっ待って」

「ちょっと俺 勉強していきたくて…　　鍵は閉めとくから 居ていいかな？」

「ああはい わかりました」

「ありがとー」

『今思う』

「あ」

「そういえば 鍵の返却は先生の机にって言い忘れましたね」

『もしここで戻らなければ』

『戻らなければ』

『こんなことには…』

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