来世は他人がいい 38話 / 最新刊　【無料 ネタバレ あらすじ】

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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2024年2月28日まで

【時は戦国】

「殿！！ ご出陣を！！」

【兵どもがせめぎあう世】

「ぬおおおっ！！」

「勇ましき御姿！！」

「まさに鬼神じゃああっ」

【――――とかそんなこともありましたが今は昔のことである】

『犬を拾ってしまった』

『短足かつ尾無しと姿の珍妙さに同情したものの』

『没落して日々の暮らしもままならぬというのに どうしたものか』

（しかも土足で板の間に上がってくる……）

ペタ　　ペタ

「お主は土間じゃ」

「ちゃんと居場所もこしらえてやったであろう」

ふん　　ふん

「そうではない 中に入らぬか」

ひょい

ぐぐぐっ

「何これ 短いくせに足の力強っ！！　　犬こんな事できんの！？」

ゼエ　　ゼエ

『わしが何か作れば家臣は手放しで称えたというのに』

〔殿！〕

〔すごいでござる殿！〕

『今やこのザマ』

『無理じゃ 追い出そう』

ガラッ

ピシャッ

「……」

くーん　くーん

『悪く思うな 落ちぶれたとはいえ わしも武士』

くーん…

『畜生に手玉に取られるなど あってはならぬ』

せいっ

バン

せいっ

バン

せいっ

バンッ

バリン

『もう何が悪いのか！！』

『こやつか！？　　わしか！？　　あばら屋か！？』

〔殿！〕

〔殿は天下一でござる！〕

『あの頃に戻れれば…！！』

『ま…今日は許してやるか』

【時は戦国】

「敵軍と兵の差は歴然 国境を越えるのも間近かと…」

【誰もが強き旗印の元に集う世】

「臆するでない！　　わしが蹴散らしてくれよう！」

「さすが殿！」

「一騎当千とは御身のこと！」

「皆 わしの背に続くが良い」

【今は昔のことである】

「…とまぁ 辺境の田舎大名とはいえ　　わし それなりだったのだぞ」

『敗走途中に落馬して気が付いたら このぼろ長屋の店子…』

『大家の話からして おそらく家臣の誰かが後ろ見となってここに運び込んでくれたのであろう』

「これからはお主が家臣…」

「尻を向けるな 尻を」

「よし」

てろん

「わしが良き家の出である証拠に家紋入りの印籠を見せてやろうかな…」

「ん？」

「これは懐かしい…」

「亡き母上がこしらえて遊んでくれたなぁ」

「皆 どうしておるか…」

そっ

「ふっ…寄り添うてくれるのか」

『母の形見ー！！』

むち――

「ちょ…やめい」

「よこせ」

「あっ どこからも手が入らない」

みっちり

「隙なしっ」

ぐむむっ

むむむ…

むっちーん

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