薔薇と殺し屋　最終回 / 結末

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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「……５回」

「キスするまでに 俺を好きにさせるから」

『渡瀬 千花 ２６歳』

『突然のお見合いで　　宣戦布告されました』

『事の発端は１週間前』

『両親が営む弁当屋で働いている時のこと――』

「お待たせしました」

「生姜焼き弁当のお客様」

「はい！　　はい！」

「いつも ありがとうございます」

「あの……」

「これ」

「えっ？」

「俺 そこの病院に勤めている者なんです」

『久城総合病院 …って真向かいにある大きい病院だよね』

「具合の悪い時には いつでも来てくださいね」

『こんな調子で最近よく　　久城総合病院の人に声をかけられるけど』

「お気遣い ありがとうございます」

「またね――」

『私 よっぽど　　具合が悪そうに見えるのかな』

「今日も人気者ね 千花ちゃん」

「そんなことないです」

「あ 健吾くん」

「うちの子も千花ちゃんのファンなのよ　　将来 千花ちゃんをお嫁さんにもらうって言って」

「そっかー ありがとね」

「じゃあ 健吾くんが大きくなるまで待っていようかな」

『お嫁さんか――』

『私には そんな未来』

『訪れないだろうな』

「雨… 降ってきたな」

「急に暇になっちゃった」

「いらっしゃいませ」

『いつも来るお客さんだけど』

『高そうな服 着てるのに 意外と庶民派？』

『濡れてる… このままじゃ風邪引いちゃうよね』

「よかったら」

「これ 使ってください」

「…悪いな」

『低温だけど甘い声…』

『容姿も声も素敵だなんて　　ずいぶんと恵まれた人』

「日替わり」

「……」

「は」

「はい…！」

「日替わり 入りました！」

「５５０円になります」

『これで愛想が良かったら　　もっと素敵なのに』

「あの」

「９月からメニューが変わるんです」

「間違えてるぞ」

「……はい？」

「……あ！」

「すっ　すみません！」

『恥ずかしい！！』

「べつに」

「俺に謝ることはないだろ」

「これは もらっておく」

「心配するな　　笑いのタネにするつもりはないから」

「ありがとうございました」

「タオルは洗濯して返すよ」

「わざわざ そんな」

「まだ雨が…」

「よかったら どうぞ」

「ありがたく借りていくぞ」

『無愛想なのに 律儀なところもあって　　なんだか ちょっと変な人…』

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