友麻碧さん/雨壱絵穹さん/夏西七さんの連載作品「メイデーア転生物語 〜この世界で一番悪い魔女〜」の最新話が読める月刊Gファンタジーは、毎月18日に発売です
同時配信の電子版が便利でオススメ!
もくじ
57話 10巻 Gファンタジー 2024年10月号
出版社 スクウェア・エニックス/2024年9月18日 発売
死神の初恋 ~没落華族の令嬢は愛を知らない死神に嫁ぐ~ / 1巻 -今だけ無料-
2022年8月25日まで
「もうここで。」
「で、でも…」
「私は一人で大丈夫です。」
「もう、行ってください。」
「…か、」
「勘弁を!」
『幼い頃より恋を知らないまま夫婦になることは覚悟していた。』
『けれど、この婚姻に、』
『幸せなど ありえない。』
「…私を見送ってくれるのは、」
「お前だけなのかね。」
「三条家から まいりました。」
「正岡千鶴と申します。 今宵、妻にしていただきたく お願いにあがりました。」
「どうか私を お娶りください。」
「死神さま。」
『明治四十年 冬、銀座――』
「こんにちは。」
「三条家のお着物は できておりますでしょうか?」
「あぁ 千鶴さま いらっしゃいませ。 もちろん ご用意できておりますよ。」
「わぁ、ありがとうございます。」
「…こんなこと言うべきではないかもしれませんが…」
「また千鶴お嬢様ご自身のお着物を お仕立てする日を、 私は楽しみしております故。」
「…ありがとう。でも、」
「私はもう一介の使用人ですから。」
『私の生家 正岡家は元々 江戸時代の大名家で、』
『二年と少し前まで 麹町に大きな邸宅を構える子爵の家だった。』
『貴族院議員を務める父を中心とした平穏な毎日。』
『これからもずっと こんな日々が続くのだと思っていた。』
〈じゃあ、次のお休みの日 銀座に集合ね!〉
〈えぇ! 今から楽しみ…〉
〈正岡さん。〉
〈先生。〉
〈…残念ですが、もう明日から あなたはここに通えなくなりました。〉
〈…え?〉
〈本日、すべての私物を持ち帰ってください。〉
〈ど、どうしてですか? 私、成績も悪くないし 問題を起こしてもいない…〉
〈あなたのお父上に収賄容疑がかかっています。〉
〈う、嘘……〉
〈貴族院議員の立場を利用して、 とある商社から賄賂を受け取ったことが発覚したみたいですよ。〉
〈そんな…!〉
《…そういえば 昨晩、 父は秘書と難しい顔をして話し込んでいた。》
《何かあったとすれば きっとあの時。》
《…でも、》
《私の父が、貴族院を追われるほどの罪を犯すなんて思えない。》
〈お母さま!〉
〈…千鶴さま。〉
『――結局、』
『父は収賄罪で警察へ連行され、職員を辞職した父は爵位も返上。 正岡家は すべてを失った。』
〈――ありえません。〉
〈あの旦那さまが収賄なんてするはずがない! きっと、あの秘書が旦那さまに罪を被せたに違いないのに…〉
〈悔しいです…! 私…!〉
『麹町の大きな邸宅は売りに出され、使用人も全員解雇。』
『居場所を失った私たちは 母の実家である埼玉へ移住するも、 今までの生活が維持できるはずもなかった。』
〈…それでも 清吉は学校に行かせてやりたい。〉
〈――私、三条家の使用人になります。〉
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