木内ラムネ先生の連載作品「月のお気に召すまま」の最新話が読める別冊マーガレットは、毎月13日に発売です
同時配信の電子版が便利でオススメ!
もくじ
最終話 13巻 別冊マーガレット 2024年12月号
出版社 集英社/2024年11月13日 発売
それは嘘で、これは恋で / 1巻 -今だけ無料-
2022年2月24日まで
『これは』
「あ」
「待って」
「それ」
「オレが開けてみてもいい?」
『神様が私にくれた』
『2度目のチャンス』
「あ うん」
「!」
『やっと』
『帰ってきた…』
「入って」
「ただいま…」
『大好きな陸斗が 2か月ぶりに帰ってきた』
(嬉しい…)
「おっ おかえり 陸斗!!」
「ただいま」
「どう? 何か思い出した?」
「いや…… さっぱり…」
「ここに来たら何か思い出せると 思ったんだけどな」
「けど うん 仕方ない まだ事故から2か月だし」
「記憶喪失っていっても 少しずつ思い出してきてるし」
「これからも焦らず ねっ」
「だな」
「ま 今は思い出せないけど なんか懐かしい感じは するな」
「特に このソファーとか」
「!!」
「すごい!! それ もともと陸斗ん家にあったソファーだよ!」
「え そなの?」
「うん」
「はじめはね 陸斗ん家のアパートが取り壊されるっていうから」
「一時的に住むって話だったの」
「そのまま オレが住みついた?」
「そ」
「で その時に唯一 持ってきたのが このソファー」
「へぇ―― じゃあ オレの好みは変わってないってことか」
「うん 変わってない」
『変わってない』
『記憶がなくても 陸斗は陸斗だ』
『そして 全てを飲み込んで陸斗は戻ってきてくれた…』
『これは奇跡なんだ…』
「退院 おめでとう!!」
「えっ すご!! わざわざ用意してくれたの?」
「陸斗 苺 好きだから」
「うわ――マジ嬉しい!!」
「一花ちゃん!! 改めまして」
「今日から よろしくお願いいたします!!」
「こちらこそ よろしくお願いいたします!!」
『陸斗にとって ここは はじめての場所』
「なんか気になることとかあったら言ってね」
「ここは陸斗ん家でもあるんだから」
「ありがと 一花ちゃんも オレが変なことしたら言ってよ」
「うん… でも」
「陸斗は まだ自分のことだけでいいから」
「まだリハビリも残ってるし 仕事場への復帰もあるしね」
「まずは 日常に戻れるようになってほしい」
「私は 全力でお手伝いするから!!」
「ありがと めちゃくちゃ頼りにしてる」
『全てを失いそうで怖かったけど』
『今 目の前には陸斗がいる…』
『ここから もう一度はじめるんだ』
『もう二度と』
『陸斗を失わないように…』
「おおお この角度だー」
「これは? あっ こっちか」
「それ 入院してる時に渡した写真?」
「うん」
「なんかさ 記憶はないんだけど」
「一花ちゃんから毎日 色んな話 聞いてたから」
「今 答え合わせみたいで ちょっと面白い」
(よかった 楽しんでくれてる…)
「答え合わせって言うなら さっき陸斗が座ってた場所」
「陸斗 だいたい ここに座ってたよ」
「えっ マジ?」
「それに」
「さっきの洗面所の電気」
「教えてないのに わかったじゃない?」
「確かに 言われてみれば…」
『よかった…』
『覚えててくれてることもある…』
「不思議だよね… 身体は覚えてるのに……」
「……」
「あっ」
「いや」
「なのに私のことは思い出せないとか そういうことじゃなくて」
「一花ちゃん…」
「!! あ えと だから」
「習慣て すごいなって思って」」
「だから ほかのことも これから どんどん思い出すかもねって」
「あっ コーヒー いれ直すね」
『しまった…』
『余計なこと言っちゃったかも…』
「……」
『はじめは すぐに思い出すと思ってた…』
『三日後には思い出す…』
『1週間後には…』
『退院するまでには…って』
『だけど 陸斗は何も思い出さない』
『もう二度と』
『何も思い出さないのかな……』
無料期間が終わっても サンプル試し読みできます! 気になったら ぜひチェック♪