美女が野獣、最終話 完結5巻 感想
※ネタバレ注意です※
思いがけず鰐淵の実家へ鰐淵と共に帰省して夏休みを過ごしたエイミと、そんなアクシデントを彼氏として心配し、鰐淵を牽制する下貫。
新学期がはじまり、寮で全国お菓子博覧会を開催していたエイミ達。
最終話を前にエイミへの気持ちを整理しながら自覚していった下貫と鰐淵の2人は、彼氏である下貫の嫉妬からくる牽制について朝食を取りながら鰐淵と一悶着していました。
その場は鰐淵の口ぶりに謝って事を終えた下貫が、鰐淵に対してなんとも言えない不安を感じている事が痛いくらい伝わります。
その後、下貫はエイミと休み明け久しぶりに顔を合わせ、会いたかったとエイミを抱きしめます。
エイミの様子は相変わらずの不思議っぷり。
そんな様子すら愛おしく感じている下貫がとてもピュアで可愛らしいです。
鰐淵も彼女の元へ顔を出しに行きます。
彼女は驚いたように、もう来ないと思っていたと口にして鰐淵と笑い合います。
そしてどこかスッキリした様子の鰐淵に、エイミと過ごしていた事を聞かされて空を仰ぎます。
時が来た事を知り、彼女は鰐淵へ自身の気持ちを伝えます。
場面は変わり、エイミと校内でも行動を共にする下貫。
そんな2人で行動しているところでも、鰐淵の姿を見かけては声をかけ近付こうとするエイミを、鰐淵は急にあしらうように。
何度かそんな事が続き、どうにかエイミが鰐淵へ近付いた時「これからは俺に近付くな」と言われて、明らかに拒絶されてしまいました。
それに傷つくエイミ。
鰐淵への嫉妬心から来た安堵の気持ちか、鰐淵はカップルである自分たち2人に気を使っているからじゃないかと諭す下貫。
食欲の塊であるはずのエイミは寮内で食欲が無く、胃がキリキリするとぼやきます。
寮生達は食欲が無く、胃が痛むというエイミを大げさに心配します。
翌日エイミは階段らしきところから鰐淵を眺めています。
近ずくなと言われ、それを守って遠目に眺める姿にはどこか哀愁が漂っています。
そんなエイミを見かけ、何を見ているのかと声を掛ける下貫。
ちょっとね、と流すエイミの視線の先に鰐淵がいる事に気付き、鰐淵へ惹かれているエイミに「それでも自分は頑張る」事を告げました。
彼氏でありながら彼女の気持ちは鰐淵にある、と知っている下貫に何とも言えない切なさを感じるシーンです(泣)
そしてエイミは「お手洗いへ行く」と言い、歩き出した瞬間に倒れ込みます。
下貫は焦ってエイミへ駆け寄り身体を起こそうとしますが、そこへ鰐淵が登場。
「無理に起こすな」と下貫を冷静に促し、保健室ではなくタクシーを呼んで病院へ直接連れて行くと告げます。
痛みに苦しむエイミを膝に寝かせながら「すぐに楽になる」と優しく声をかける鰐淵。
やっと会えたと安心するようなエイミ。
3人は無事に病院へ行き、エイミは急性胃腸炎と診断され大病では無い事に一安心。
鰐淵と下貫は暗くなった外を2人で歩きながらエイミへの気持ちについて話します。
下貫は鰐淵へ「あなたは身勝手だ」と思いを口にしました。
すると鰐淵は軽く笑いながら「同じ様な事をつい先日聞いた」と答えました。
鰐淵は彼女に下貫と同様、「あなたの身勝手にはついていけない」と笑いながら別れを告げられていたのです。
そして下貫は「エイミを側に置きたいなら置きたいと、正直に口すれば良い」と拗ねるように鰐淵を責めます。
その言葉を聞いた鰐淵は「良いんだな?」と下貫へ自信に満ちたような笑顔で確認をとりました。
その後また場面は変わり、エイミは操と涼と共に寮を見上げながら「この寮へ入って良かった、皆と出会えたし」と笑顔で言います。
そのまま場面はエイミの娘へとスライド。
「大好きな人にも出会えたしってママが言っていた」と友人へ話す娘で最終話は締められました。
鰐淵の気持ちを尊重し、綺麗に身を引いた彼女。
鰐淵を思うエイミの気持ちを自分へ向けたくて必死になる下貫。
エイミへの気持ちを自覚し、彼氏へ筋を通す姿勢を崩さない鰐淵。
「皆が大好き」なのに鰐淵への大好きは少し違うとゆっくり自覚していくエイミ。
どの登場人物にも感情移入できる最終話です。
めちゃくちゃなように見えて実のところはかなり繊細かつ人間的に描かれている登場人物達が、全編を通して迷い続けた結果を力強く素直に綺麗にまとめられた最終話でした。
鰐淵とエイミの娘がラストシーンに登場し、やっと結ばれた2人のハッピーエンドを垣間見る締め方にもグッと来ました。