妹に婚約者を譲れと言われました　最新話 / 40話

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「ユリシーズ王子 おはようございます」

「おはよう」

「おはよう ジュリア」

「おはようございます！！」

「きみはいつも元気だね」

「はいっ　それだけが取り柄ですので！！」

「あの…っ ユリシーズ様　　よろしければ 今日の授業が終わったあと…」

フワッ

「ごきげんよう　　みなさん」

【マクスウェル公爵令嬢 メリアローズ】

「ユリシーズ様 よろしければ今夜　　観劇に出かけませんか？」

「メリアローズ…」

「…ああ」

「楽しみだね」

『ふふふ 今日もジュリアに王子との仲を見せつけてやったわ！』

「さすが私のユリシーズ様」

「あら ジュリア」

「遅刻しないよう早く行った方がいいわ　　落第すれば下級貴族のあなたじゃ　　この学園にいられませんものね！！」

「……」

「…あ」

「今日もメリアローズ様は素敵ですわ！！」

「ユリシーズ様と本当にお似合いで 理想のお二人ですわあ」

「いいなぁ 王子は」

「メリアローズ様みたいな方と婚約できてさ」

「品があって きれいで… 非の打ち所がない」

ぎゅッ

ドンッ

「おっと」

「大丈夫か？」

「…って ジュリア！？」

〔フッ〕

『王立ロージエ学園――…』

『元々王家の人間に社交性を養わせるために創立された 由緒正しい学園であり　　そこに通う者は 良家の子女に限られている』

『私は この学園で』

『女王の座に君臨している』

『事のはじまりは半年前――…』

【マクスウェル邸】

「…というわけで メリアローズ嬢」

「悪役令嬢になっていただきたい」

【ミルフォード大臣】

「はい？」

「わがクロディール王国 第一王子ユリシーズ様ことなのですが…」

『つまりは』

『そんな王子が恋をした』

『お忍びで 辺境の視察へ行った際』

『悪漢に絡まれていた娘を救い　　二人はすぐ惹かれあったのだが――…』

『娘は王子と釣り合うことのない　　地方の弱小貴族』

「王子は娘に 泣く泣く別れを告げましたが」

「今でもその叶わない恋に苦しまれておいでで…」

「これがある程度の身分でしたら　　自然と縁談を持ち出せるのですが…」

「吹けば飛ぶような弱小貴族が相手では 逆立ちしても無理だな」

「しかし ここに来て一筋の光が見えたのです！！」

「来春王子は 王立ロージエ学園にご入学　　件の娘も 特待生として学園に入れるよう仕向けました」

「そして」

「王子と娘に 物語顔負けのラブロマンスを育んでいただく！！」

「その後押しとして メリアローズ嬢はじめ 同年の若者で結成された　『王子の恋を応援し隊』の実働部隊が 二人の恋を更に盛りあげていくという寸法です」

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