ジュリエットを撃て　最新話 / 6話

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『誰か』

『教えて……』

『苦しい』

『痛い』

「…ねぇ」

「お願い…」

『もう…　　解放　されたい』

「最期のときはお願いよ」

「あなたが」

「私を殺してね」

「…このまま　　気が狂って死ぬ運命なら…」

「解放してほしい」

「あなたの手で」

「…わかった」

「おまえを　　苦しませるようなことはしないと」

「誓う」

「…だが それは　　もしもの時の話だ」

「おまえは俺が守る」

「心配するな」

「俺はおまえを裏切らない！！」

「…ま…っ」

「待って」

「ルカ……！」

『ルカ』

「ル―――…！」

『――――夢……』

（いま…　　誰かの名前を呼んだような…？）

『最近 変な夢をみる』

『だけど　目が覚めると　忘れてしまう』

『忘れては　いけないことような　気がするのに―――』

「あっ　　お 起きなきゃ！」

「…よし　　今日はここまでだ」

「はい！」

「ありがとうございました！」

「本当に　　強くなったな 夕月(ゆき)」

「新聞配達(バイト)の後に　　稽古に つき合わせてしまって いつもすまないね」

「いいえ」

「院長先生に武術を教えて頂いて 僕も楽しいですから」

「そうか…　　ところで夕月」

「アパートを探しているみたいだね？」

「はい」

「しかし 学校とバイトを両立しながら　　独り暮らしはキツイだろう」

「高校に上がったからって…　　あわてて 出て行く必要はないんだ」

「養護施設(ここ)に遠慮はいらないんだよ？」

「あっ　　いえ…」

「僕は少しトロイので…　　どうせ自立するなら少しでも 早いほうがいいと思ったんです」

『…そうだ』

「アパートがみつかるまで もう少しの間だけ…　　よろしくお願いします」

『甘えちゃいけない』

『ひとりで 頑張っていかなきゃ』

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