きみの横顔を見ていた　最新話 / 9話

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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〈まもなく 東京行き こだま534号 発車します〉

「あかり！ これ みんなからセンベツ！」

「えっウソ ありがとう！！」

「新幹線の中で聞いて」

「え」

「はいっ もう行かんと！！」

「ありがとう 電話するね」

〈終点 東京駅には 14時23分 到着予定です……〉

「“聞いて”って　　なんだろ……？」

《あかり 店長です 本店でも頑張れ～～　　あっ ユウでーす　　あかりがいなくなると思うと寂しいよ～～》

「あ！」

（みんな……）

《あと　　東京では あんま“妄想ガール”っぷりを発揮しないよーにネ》

『わたし 高野あかりは』

『このたび 26年間慣れ親しんだホームタウンを離れ　　上京することになりました』

『３年間ともに働いた支店の仲間との別れは寂しいけど』

『今は　　期待で胸がいっぱいです』

『だってなによりも大好きな 本のそばで働けるんですから――……』

『須王堂書店は 東京都内に７店舗 地方に１５の支店を抱える大型書店です』

『そして ここ本店は 東京のターミナル駅からの直結ビル内に３フロアー構える 大型店舗です』

「ここが本店かぁ～～」

「広～い」

「わー すごーい　　女性実用書だけで棚が――……　　１・２・３・４」

「５本もあるー！！」

『支店では 女性実用書の棚は１本しかありませんでした』

（ヨガ ダンス ゆる体操だけで）

（この棚 全部 使ってる！）

（あ ヤバ…… ８時半までに事務所にって言われてたんだ）

『…というか 事務所どこ～～！？』

（広すぎて わかんないっ）

『なにかよい匂いがする』

『ここから』

『も』

『森だ！！』

『森の匂い……』

（ん？）

『人が……！？』

『だれだろう』

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