結末

おやすみプンプン 最終回 13巻 ネタバレ注意

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おやすみプンプン、最終話 完結13巻 感想

※ネタバレ注意です※

「おやすみプンプン」の最終話は、初恋相手である愛子ちゃんと、夢の中で対話するシーンから始まります。

もう亡くなってしまってから年月が経ち、プンプンの中で存在が曖昧になってしまった愛子ちゃんでしたが、夢の中ではプンプンと愛子ちゃんが出会った頃の子どものままで、無邪気にふるまっているところが印象的でした。子どもの頃から熱心な新興宗教家の母親をもち、大人になるまでその母親との確執を解消することなく、ついには殺めてしまう愛子ちゃんですが、そんな不幸な生い立ちの中でも幸せを見いだそうとする姿が健気で、作品を通して一番好きなキャラクターでした。

そんな愛子ちゃんだからこそ、夢の中では恐らく、プンプンの願望もあいまって、作中でも一番幸せそうな姿をしていました。ただ、夢の世界で愛子ちゃんが、常にたったひとりぼっちであることが、胸をしめつけられるほど、切なかったです。

そしてプンプンは、毎年七夕には愛子ちゃんのことを思い出すと約束をしていたものの、生活が大きく移り変わっていったことから、思い出すことから決別することを愛子ちゃんに伝えます。別れを告げられた瞬間の、愛子ちゃんの悲しげな表情、そして、しょんぼりとした後ろ姿が、脳裏に焼きつき、単行本を持っていられなくなるほど悲しくて、ボロボロと泣いてしまいました。これまで、様々な漫画を読んできましたが、一番泣いたシーンなのではないかと思います。

プンプンや愛子ちゃんの最終話までの行動は、社会的に見れば褒められたものではなかったのかもしれませんが、確かにふたりの間には深い愛情があり、だからこそ、織姫と彦星のように、その別れは身を割かれるように辛かったのだと思います。それでも、前に進んでいくために別れることを決意したプンプンは、本当の意味で、プンプンを心から愛していた愛子ちゃんのことを考えていたのかもしれません。

また、最終話でもうひとつ、印象的だったのは、幼馴染である晴見との再会です。プンプンと晴見は、言葉こそ交わしませんが、涙を流しながら、晴見に手を振るプンプンが、全てを物語っていたように思います。また、ここで驚かされたのが、最終話まで、無邪気な小鳥から、無機質なキューブや、鬼など、気持ちの変化や成長によって、読者にだけ見せる変身を遂げてきたプンプンでしたが、晴見に手を振っていたのは、かつての、小鳥だったころの、まっさらなプンプンの姿でした。コミカルで可愛らしい、一見、ゆるキャラのようなその姿ですが、最初からプンプンを読んでいたからこそ、一番それがプンプンらしい素直な姿なのだとわかり、そこでもまた、涙を誘われてしまいました。

また、夢の中での愛子ちゃんへの語りなどから、これからプンプンは、幸と、幸と前の夫との間に生まれた子どもと、3人で、未来を生きていくことを決意していることがわかります。プンプンと幸とも紆余曲折あり、何度もふたりの心は離れかけていましたが、幸が諦めずにプンプンを探し、追いかけたことから、繋がることが叶ったのだと思います。とはいえ、プンプンは結婚する事を躊躇していましたが、それも不仲だった両親を見ており、愛子ちゃんを幸せにすることができなかった後ろめたさのあるプンプンにとっては、至極当然のことなのかもしれません。ですが、結婚という確かな形がなくとも、幸や、幸の子どもとの絆を深めていくであろうプンプンの未来は明るいものになるであろうことを予感させます。

全13巻と、プンプンな濃密な人生を考えると、短いようにも思える作品ですが、短いからこそ、人生においての大切な部分を強調して読者に伝えてくれました。どんな困難があっても、諦めずに生きることを、教えてくれる作品です。


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