うる星やつら、最終話 完結34巻 感想
※ネタバレ注意です※
どうして、どうしてここでそんなにもすれ違ってしまうの? と、いうのが最終話の感想です。
せっかく連れさらわれたラムを助けに行ったのに、売り言葉に買い言葉でケンカになっちゃうなんて。
ましてや、再び鬼ごっこで対決するなんて。
ましてや、あたるが勝たないとラムの事を忘れなきゃいけないなんて、どうして?
と、今までのドタバタが嘘のような切なさでした。
ラムとあたるの出会いの時も鬼ごっこでしたが、あの時と決定的に違うのは、ラムの乙女心とあたるの男心。
二人の、あまりにも純情な思いが溝を作ってしまったという事です。
嘘でも良いから、ラムはあたるに好きだと言って欲しかったんです。
ずっと側にいても、一度も言ってくれた事がない、好きという言葉。
それが、例え世界を救う為に嘘をついてでも良いから、言って欲しかったんです。
そして、あたるもここで好きと言ったら、まるで世界を救う為に言ったみたいで、それが嫌だったんです。
ラムの事が本当に好きだったから、だからこそ、そんな風に言いたくなかったんです。
ラムと離れ、彼女が落とした角を握りしめるあたるは、今までと違いました。
彼なりに、本当にラムを想っていたんです。
側にいるのが、あまりにも当たり前になっていて、彼女を忘れなきゃいけない日が来るなんて、信じられなかったんです。
巨大化したキノコを乗り越え、空を自由に飛び回るラムを捕まえようとするあたるは、ボロボロだけど、とてもカッコ良かったです。
そして、逃げながらも、どんどんボロボロになっていくあたるを見つめるラムもまた、とても意地らしかったです。
ラムからすれば、たった一言、好きと言えば、世界も救える。
自分の事も忘れないで済む。
それなのに、あたるは好きと言わないんです。
好きと言わないのに、鬼ごっこを止める事もしない。
ラムとしては、あたるの気持ちが分かりませんでした。
自分の事を忘れても良いのかとラムが聞いた瞬間、あたるが忘れるものかと叫ぶんです。
そして、転んだ瞬間、手の中からラムの角が転がって来るんですが、あたるは慌てて握りしめます。
その時、ラムは気がつくんです。
あたるが、ずっと自分の角を持っていてくれた事に。
好きというのは、言葉じゃないんだという事に、ラムはやっと気がついたんです。
そして、どれだけあたるが自分の事を大切にしていたかも知るのです。
駆け出したあたるを、ラムは両腕をで広げて迎えます。
そして、夕陽の中、二人は抱き締め合うんです。
二人がお互いを抱き締めた瞬間、涙が溢れました。
ラムの耳元で、「ラムの・・・バカ・・・」
そう呟いたあたるの表情は見えませんが、その腕は、二度と離すまいと、しっかりとラムの体を抱き締めていました。
そして、ラムはあたるの手を自分の角へと導きます。ゴールしたのです。
結局、あたるはラムを好きだとは言いませんでした。
でも、その後の台詞がとっても素敵なんです。
ラムが「一生かけて言わせて見せるっちゃ」というと、あたるは「いまわの際に言ってやる」と言うのです。
でも、それって好きとは言わないけれど、永遠にずっと一緒にいるという事ですよね、
こんなに素敵なプロポーズ、聞いた事がありません。
好きになったら、相手に好きだと言って欲しい。
でも、それって言葉だけたなら、誰でも言えるんですよね。
あたるが言った言葉は、もしかしたら、好きとか愛しているという言葉よりも嬉しい言葉ではないかと思うんです。
二人にとって、もう言葉は必要ではないんだと思いました。
言葉よりも、何よりも、その態度や仕草で、相手の気持ちを知る事も出来るんだという事を知りました。
いつもと変わらない二人は、きっとこれからもこういう風に仲良く行くのだろうと思いました。