女神に恋した男たち　最新話 / 2話

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「―――お前は　　誰だ」

「俺がよこせと言ったのは　　お前ではない」

「伯爵令嬢　　チェリアリア・アル・オブリュースは どこだ」

『公爵様』

「っ！」

『妹チェリアリアがいるべきこの場に』

『なぜ私がいるか　　公爵様もお憤りのことと存じますが』

『これには少々 わけがありまして――』

「ふぅ」

「掃除はいいわね」

「汚れが綺麗に払われると」

「心の曇りも ちょっと晴れる気がするもの」

「ちょっと お前！」

「お母様」

「「お母様」じゃないでしょう！！」

「この鍵！！」

「錆びてて錠が開きづらかったのよ！！　　なんでお前は しっかり磨いておかないの！！」

（鍵――？）

（こんな鍵 あったかしら）

（いったい どこの――）

「まったく！」

「お前ときたら」

「生まれた時から器量が悪くて」

「髪色も目の色も全然私たちに似ないで ちっとも可愛げがないこと！」

『――ああ』

『いつもの当たり散らしか――』

「伯爵家の長女のくせして　　頭もよくないし顔もよくないから みーんないらないって言うお前を」

「住まわせてやって 掃除メイドの仕事を与えてやってるのに」

「それすらもできないなんて」

『なんて時間の無駄なんだろう』

『これで掃除が終わらなきゃ』

『また癇癪 起こされるのよね――』

「――ふぅ」

「――その態度は何…？」

『しまった』

「本当にお前は…っ」

「出来が悪い上に恩知らずな…っ！！」

『ぶつなら それで満足して…！！　　ご飯抜き３日連続はご勘弁――』

「お母様」

「乱暴はいけないわ？」

「チェリー」

「この前だって そいつの」

「平民みたいに頑丈なだけが取り柄の体のせいで」

「お母様の高貴な か弱いお手々を痛めていたじゃない」

「しつけるなら他に方法は いくらでもあるわ」

「ねぇ？」

「キャスライトお・ね・え・さ・ま♥」

「っ！」

『何…？　　この嫌な気配』

「ああ チェリー！」

「可愛い上に優しいのね なんて自慢の娘なんでしょう！！」

「同じ伯爵家の人間なのに　　どうしてこんなに違うのかしら」

『――首飾り？　　チェリーの首飾りから感じる…？』

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