萩尾望都さんの新シリーズ「ポーの一族 青のパンドラ」が読める月刊フラワーズは、毎月28日ごろに発売です
同時配信の電子版が便利でオススメ!
もくじ
10話 2巻 月刊flowers 2024年10月号
出版社 小学館/2024年8月28日 発売
ヨルカフェ。 / 1巻 -今だけ無料-
2022年6月9日まで
「おなか…すいた…」
『いくら荷造りがギリギリだったからって』
『お昼 抜いてくるんじゃなかった…』
『ああ もう引っ越し荷物は届いている頃なのに』
『急がなきゃいけないのに足が…』
「も…ダメ…」
『ごめんなさい 邦和さん…』
『あなたのあとを 追ってはいけないと思っていたけど』
「ちょっと!! おいアンタ!」
『でも私 もう』
『死――――』
「こんなトコロで寝たら 腐るぞ」
「参った…」
「救急車来るまで ここに放置しとくのもな…」
「仕方ない…」
《カラン カラン》
「遅ーい 颯士」
「今 何時だと」
「ん? 何それ どうした…?」
「そこの通りで バタッと目の前で いきなり…」
「天気のいい中 放置するのも かわいそうだったし」
「とりあえず119番だな」
「望は?」
「晩メシ 買い出し行ってる」
〈ぐ ~~きゅるるるる〉
「……まさかと思うけど… 空腹で倒れたんじゃ…」
「たーだいま!」
「どうしたの? その人」
「望! それ持って 一緒に事務室!」
「よいしょっと」
「けっこう かわいい いい拾い物したじゃん 颯ちゃん」
「いいから 弁当こっち」
「颯ちゃんの分は? いいの?」
「いいよ カップラーメンかなんかで…」
「優しいなあ…」
「ホラ行くぞ 準備」
『邦和さん……』
『治る見込みのない病が 彼を蝕んでいるとわかったのは 結婚したあとだった だけど こんなに早く別れが来るなんて』
〔まだ23歳だって…? いくら美人とはいえ 親娘ほど年の離れた相手と再婚したなんて…〕
〔まったく義兄さんも よくやるよ〕
〔資産家で知られた義兄さんだ 大方 財産目当てで近づいたんじゃないのかね〕
〔こうなっちゃ これから いくらでも若い男が寄ってくるでしょうしね〕
『違う』
『そんなもの私には なんの価値もない』
〔なんたって莫大な財産は あらかた彼女に相続されるわけだし…〕
〔…それが どうやら遺書には ほとんどの遺産は離婚した奥方と その子供たちにって…〕
〔ええっ!?〕
『身内が亡くなったっていうのに どうして そんな話ばかりしてるの 悲しくないの』
『わからない 私には やっと手に入れた家族だったのに』
「……………」
〈ぐ~~ きゅるるるる〉
「………あら?」
「何!? ここ どこ!?」
【食べていてください】
『なんだかよく わからないけど どなたかが親切に…』
『ありがとう』
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