モーメント 永遠の一瞬　最終回 / 結末

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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「すまない 君たち　　経営が立ち行かなくなった」

「来月で辞めてくれ」

『２年勤めたホテルをリストラされた　　小笠原 遥 ２２歳の春』

『ニッポンは只今 不況だった　　この状況で』

「ま…た…不採用…」

『求人も ほとんどナシ』

『金なし 親なし兄弟なし 男なし』

『住んでいるアパートも追い出されそう』

「家賃 払えないなら出て行ってもらうしか…」

『もはや生活の危機――！』

『そんな時だった』

「そういえば」

『ニッポンが誇る大財閥　　九条家の総帥に仕える執事の叔父が言った』

「今度 ご長男の高仁さまが高校ご入学を機に 別邸に独立されるのだけど　　そこの専属執事をひとり 住みこみで募集してたかしら」

「でも執事って…　　男…」

「遥なら 名前も外見も男として偽っても大丈夫よ！」

「女子校演劇部では ずっと男役だったし　　ホテルでひととおりの接客やマナーも学んでいるから 通用するんじゃないかしら！？」

「け…健康診断書は？　応募に必要って…」

「そんなもの 知り合いの医者に偽造してもらえばいいのよ～お♪」

『この時の わたしは　　ワラをも つかみたかった』

「やる！」

【九条家　人事院】

「そうねえ この方　　小笠原執事の血縁で 身元もハッキリしてるし」

「ホテル勤務の経験もあるし　　若くて美形だし（最重要）」

〔サックリ採用――〕

「えっ…ウソ…っ 合格！？　面接もせず！？　　冗談のつもりだったのに」

「これがバレたらアタシもクビよ！？」

「こうなったら遥！　　死ぬ気で男のフリして 執事の仕事まっとうするのよ！！」

『こうして わたしは　　自分の人生と叔父の人生を背負って』

『執事になることになった――』

『九条財閥――　　銀行・商社・建設会社等 その経営は多岐に渡り』

『人脈は各界に及び　　九条を怒らせることはニッポンを怒らせることとまで言われる――』

『その九条家の別邸が　　今から わたしの仕事と生活の場所――』

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