高台家の人々、最終話 完結6巻 感想
※ネタバレ注意です※
最終話では木絵の妊娠が発覚するところから始まります。
お腹にくる風邪だと思い寝込んでいたところ義母である由布子が気づきます。
正直なところ最初この人が義母になると大変だろうなと思ったのですが、段々魅力的な人物であることがわかり、結婚後も木絵との仲も良好な事が伺えます。
そうして光正以外の家族に祝福されているのですが、光正はテレパスなので木絵の考えてることが伝わるのですが、木絵は妄想が趣味の為に結構とんでもない妄想がそのまま光正に伝わってしまうのです。
木絵のユーモラスな妄想がこの漫画の醍醐味と言っても過言ではありません。
私は木絵の妄想が毎回とても楽しみで、光正と同じ気持ちで木絵の妄想を楽しんでいました。
架空の面白く楽しい人物達が木絵の頭の中でいきいきとしており、光正も最初は会社内で見かける木絵の面白い妄想が気になってついつい彼女の妄想を覗いてしまうところから二人の関係が発展してきます。
仕事から帰宅した光正にメールではなく直接妊娠を告げたところ喜んでいる様子ではあるものの思いの外微妙な反応が返ってきます。
木絵は江戸っ子若旦那に扮した光正が「わっそい」と小躍りする様子を思い浮かべていただけに光正の反応に少しがっかりしていたのですが、光正の微妙な反応は同じテレパスである弟の和正と妹の茂子にはわかるのです。
テレパスは彼らの祖母から遺伝したものであり、お腹の赤ちゃんにもひょっとしたらテレパスが遺伝するかもしれないという事。
木絵は光正がテレパスである事を受け入れて結婚に至りましたが、やはりテレパスであるという事を最初聞いたときは数々のとんでもない妄想が筒抜けだったことにショックを受けてしまいます。
普通は自分の考えていることが相手に筒抜けだったり、木絵ほどではないにせよ人は割ととんでもない妄想を日々頭で考えているものだと思います。
だけど、妄想は誰かに見せるものではない前提の物なのでそれが筒抜けとなると恋人がテレパスであるというのはなかなか受け入れられない事実だと思います。
そしてテレパス側である光正達もテレパスであるが故に他人と付き合いつつも一定の距離を保っているのです。
木絵はその気持ちに気づき、寄り添って行く事を選びました。
光正達は産まれてくる子どもはできればテレパスではない方がいいと考えているのです。
少しがっかりしていた木絵でしたがテレパスであるが故に色々苦労して、色々大変な思いをしてきた事に気づきます。
この優しさやテレパスではないのに人の心を汲み取る、寄り添う事が出来る木絵の優しさがとても好きです。
もし子どもがテレパスだったとしても木絵ならきっといいお母さんになるのだろうなと思います。
木絵は知っています。光正だけでなく、和正や茂子、彼らの祖母であるアンもテレパスであること、そして四人ともとても素敵な人である事もです。
なので、木絵は子どもがテレパスであってもそれもまた素敵なのではないか?と考えるのです。
そしてその考えが伝わった光正達も、彼女の様なお母さんがいれば必ず笑顔になれると。
話はそこで終わりなので子どもが産まれてからの事は妄想するしかないのですが、木絵はきっと相変わらず楽しい時には楽しい妄想をし、悲しい時や辛い時にはそれを乗り越えれる妄想で日々を過ごしていくのだと思います。
そしてそれが見えてしまう光正達、そして二人の子どもも多かれ少なかれテレパス能力があるかもしれません。
子どももきっと木絵の優しく楽しい妄想に笑顔になるのだろうなと思います。
ちょっとだけ未来の、赤ちゃんが産まれた後の高台家をまた後日談で読んでみたいです。
完結しているにも関わらず続きが気になるとても良い漫画です。