ハナとヒナは放課後、最終話 完結3巻 感想
※ネタバレ注意です※
無事に付き合うことになって、初めて肌を合わせたハナとヒナの描写から始まります。
ずっと想いを募らせてきたヒナ、それを心から受け入れたハナ。二人の想いが一つになった美しいシーンです。
女の子同士の恋愛を描いた作品ですが、こういうシーンも綺麗に描写されているので、不快感がありません。
今までクールだったヒナが、心を通わせた途端甘え上手な年下の女の子に変身するのも、印象深いです。ギャル系ファッションに巻き髪ロングヘアの綺麗な女の子に急に甘えられちゃったら、誰でもイチコロかもしれないなと思いました。
ヒナのそういうギャップのあるところが好きです。
そしてヒナが一度は諦めたモデルの仕事を、好きなことは諦めなくていいんだよ、と優しく、でも強く背中を押してくれるハナ。
小さくて慌てん坊で、頼りなく見えるけど、実は大きな愛でヒナを包んでくれていたんだなと感じました。
これまでいろいろなことを我慢し、諦め、隠してきたヒナにとって、こんなに心強い味方はいないのではないのでしょうか。
そうして背中を押されたヒナは、大胆な行動に出ます。諦めたはずのモデルの仕事を再開し、しかも読者モデルから専属モデルへステップアップ。その上、女の子の恋人がいる、と紙面上でカミングアウトすることを、編集部にお願いしていたんです。
発売された雑誌の紙面を飾る、ウエディングドレス姿のハナとヒナ。モデルじゃないハナは顔出しはしませんが、ドレス姿で抱き合うとっても幸せそうな二人の姿にジーンときてしまいました。
それを読むヒナファンでハナの同級生たちも、引いたり非難したりもせず、かっこいい!!と大絶賛。
それだけでなく、二人の勇気に後押しされて、ヒナに一番憧れていた高木さんが、私も読者モデルに応募してみようかな?と告白。勇気をもらうってこういうことを言うのだなと思いました。誰かの勇気ある一歩は人の心を動かすのでしょう。
幼い頃に、大人っぽいのに似合わないよ、と陰口を叩かれて以来今までひた隠しにしてきた、可愛いキャラクター物が好きなことも紙面で告白。女の子であるハナのことが好き、キャラクター物が好き、などたくさんのことを抱えて苦しんでいたヒナは、本当の意味で生きやすくなった瞬間だったのかもしれません。
学校が退学にならないか心配するハナに「その時はその時ですよ」とあっさり言えちゃうヒナは、確かに以前よりかっこよく、素直に生きている姿がキラキラして見えました。
放課後のバイト先のファンシーショップで知り合った、ハナとヒナ。バイトが学校にバレそうになり辞めていたヒナは、久しぶりにバイトに臨時復帰します。
お揃いの可愛いエプロンドレスの制服に身を包み、お店に立つ二人。やっぱりハナとヒナはこうでなくっちゃ、と嬉しくなります。
久しぶりの制服に身を包んだハナは、出会った頃の二人の姿を思い返します。
ヒナが傷ついた過去があったから、いまの自分たちがいる。いろんなことが重なった先に私たちが出会えたのなら、また悲しいことがあってもそれは未来に続く道になる、と。
確かに過去に傷ついた出来事があったとしても、それが未来の幸せを生み出すきっかけとなるのなら、その出来事ごと過去を愛せる気がしますよね。
そんな風に大きな愛情を持つハナを素敵だと思いました。
初めに好きになったのはヒナの方でしたが、いつのまにかお互いに惹かれあっていて、ヒナの持つネガティブな部分などを含め本当のヒナを丸ごと包み込んでいるのはハナのほうだと感じました。気持ちの深さや包容力で言えばハナの方がずっと大きいように思います。年上ゆえなのかもしれません。
そんな風に強く想いをめぐらせ、店頭に立つヒナを、ヒナに強請られキスを交わして送り出します。なんて可愛い、幸せそうなシーンだろうと思います。
ハナとヒナにはこれからもずっと、可愛くって強くって幸せなカップルでいてほしいと、切に願いました。