まほうのおうち｜最新話13話【無料】ネタバレ

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

2022年3月17日まで

『ああ これが他人事なら』

『…そう　　せめてここが 王城という名の私の家でなく』

『お忍びで出た 城下町でみかけたラブシーンとかなら』

『今の私でも 萌えられるのに』

『悲しいかな ここはお城の廊下であり』

『なにより　　なにより』

『身内(あに)と恋人(おとこ)のラブシーンなんて 見たくないってのー！！』

『人影がないから おかしいとは思ったけど』

『兵や侍女たちは 気を遣ったのね』

「兄上… シル様と仲がよろしいのは結構ですが」

『こんなとこでイチャイチャしてんなー！！』

「場所は考えていただかなくては」

「オクタヴィア…」

「オクタヴィア様！」

「…悪かった」

『クッソ イケメンだな！　　さすが登場人物 人気投票 第一位のセリウス！』

「いえ… 第一王子として自覚を持っていただければ…」

「オクタヴィア様…」

『はいはい ラブラブですね――』

「…お」

「オクタヴィア様は どうすれば」

「おれを認めてくださいますか？」

『ああ！　　私が二人の仲を認めてないと思ってる？』

「認めるも何も」

『だって この国… この世界は――』

「シル様は兄上の愛する方… それで充分ではありませんか」

『男同士の恋愛と結婚が認められている』

『どうあっても あなたと兄は結ばれる運命』

『――だから』

『そんな悲しそうな顔しないで シル様―――』

『今はこんな態度だけど 前世じゃ大ファンだったの――！！』

『そう…私には 前世の記憶がある』

『前世の私は 男同士の恋愛ものが大好物のいわゆる腐女子だった』

〔セリウス様×シル様 尊いー♡〕

『当時の愛読書が』

『『高潔の王』』

『異世界を舞台にした 大人気ＢＬ小説』

『出生の秘密を持った男爵家の少年シルと エスフィア国第一王子のセリウスが運命的に出会い』

『恋に落ち 数々の困難に立ち向かっていく物語　　――未完』

『というのも 完結する前に 私が死んだから』

『田澤麻紀 享年十八歳　　死因は―』

『クソ忌々しい記憶と直結してるから どーでもいい！』

『とにかく 死んで』

『色々あって 運よく生まれ変わった』

『超好きだった小説『高潔の王』の世界に』

『セリウス王子の妹ちゃん… オクタヴィアとして！』

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